週末猟師

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リローディング家電!?

今週のお題「マイベスト家電」なので,このブログの主テーマであるリローディングに使う電気製品からベストを選ぶってことで.蛇足ながら,リローディングとは使用済みの薬莢に火薬や弾頭を詰め直して弾を作ることです.そして家電とは家庭用電気機器の略ですから,実包メーカーが使うようなものでなく,個人が使うものならいいですよね?笑

 

さてリローディングは大きく分けると二つの工程に分けられます.一つは case prep で薬莢を使用可能な状態に整えるまでの工程,そしてそのあとは reloading/handloading で火薬を装填したり,弾頭を装着して実包を完成させる工程です.まあ我々がリローディングというと両方をまとめて言うことの方が多いですけど,工程が多いのでここでは二つに分けて考えます.


part I : case prep 編


step 1: decapping
使用済みの薬莢から,雷管を外します.ここは手作業で電気を使うことはないです.

 

step 2: tumbling
お,ここで電気を使いますね.薬莢をクリーニングするのに,タンブラーを使いますから.

 


メディアと呼んでいるものと一緒に振動させることで汚れを落とします.メディアにはコーンコブ(トウモロコシの芯を砕いたもの)や,クルミの殻を粉砕したものなどを使います.何時間か掛けておくと薬莢が金ぴかキレイになります.

 

step 3: lubing
プレスに掛ける前に,ダイに焼き付かないようにルーブを塗ります.潤滑の意味があり,私の使っているルーブはメンソレータム軟膏みたいな感じ.主原料はラノリンです.塗布は手作業です.

 

step 4: sizing
薬莢は発砲すると大きくなって,そのままだと再使用しようにも銃の薬室に入らなかったり,弾頭が保持できなくなっているので,発砲前の所定の大きさまで金型を使って戻します.これも手作業です.

 

step 5: inspection
薬莢のサイズが適正かを確認します.このとき使うのは主にはゲージですが,数値を読むときにはノギスを使います.これは一応電池式ですね.機械式もあるけど,電池式は始点を自由に決められるのが便利な点です.

 


弾頭を保持する部分であるネックが規定値より伸びた場合は,次のステップでトリミングします.問題なければ case prep 完了です.キャリバ毎に用意したケースに収納し,リロードの機会を待ちます.

 

step 6: trimming
前のステップでネックが伸びすぎていることが分かった場合は,所定の長さまでトリミングします.これはトリマと呼ばれる道具を使います.電動のものもありますが,うちでは手動のトリマを使っています.

 

step 7: deburring and chamfering
トリマに掛けると,削った面にバリが出るので,出っ張った部分を削ります.そうしないと弾頭装着時に,弾頭に傷が付いてしまうし,また銃の薬室に入れるときに引っかかる場合もあります.私はここで電動の case prep center というのを使っています.これでネックが伸びた場合の case prep は終了.箱にしまって出番を待つことになります.

 

part II : reloading
うちでは part 1 に示した,case prep が済んだ状態で薬莢を保管してあります.そして射撃や出猟へ行く前に,その用途に合わせた実包を必要な数だけ作成します.盗難を考えると,組み上げた状態で所持するより,使う前に組むことが奨励されていますし,家で保管できる実包数にも上限があるという事情はあります.

 

step 1: priming
薬莢に雷管を装着します.プライミングツールはこんな感じで手動です.

 

step 2: powder charge
うちで火薬を装填する方法は主には二つあって,一つは powder measure という道具を使います.

 


これは一定の容積の火薬を量り取るもので手動ですが,目盛りを合わせるときには,スケール(電子ばかり)で合わせますので,ここは電気を使っていますね.

 


この方法は同じ薬量の弾を数多く組み立てる時に使います.対して,測定試験のためなどで少しづつ薬量を変化させていくとか,それほど数を作らないときには自動のディスペンサを使うこともあります.

 


これは火薬を繰り出していって,所定の量になったら止まるようになっているもので,体積ではなく重さで火薬を量るので,より均一な薬量を実現できます.この装置は当然電動です.あとは最後に仕掛品の全ての薬莢に火薬がちゃんと入っているかを上から懐中電灯で照らし覗いて確認します.

 

 

step 3: bullet seating
火薬を詰めた薬莢に弾頭を装着します.所定の長さになっているかはノギスで測りますが,part 1, step 5 でとりあげているので割愛します.シート作業自体は手動のプレスで行います.

 

以上で弾は完成です.ちなみにこのプレスは,decapping, sizing にも使うので,リローディングの中心的な道具になりますが,電気を使わないのでここでは割愛します.

 

step 4: 後片付け

リローディングで使った火薬の量は帳簿に記録しておきます.弾に使う火薬の量の単位は grain なのですが,帳簿はグラムでつけますので,これらの間の換算をします.リローディング前後の火薬瓶の重さの変化と,薬量×弾数から計算される消費薬量に矛盾がないかをダブルチェックするわけです.その計算に使う電卓には私はこちらを使っています.

 

 

CASIO fx-260 SOLAR II という一次電池(要するに乾電池)のない完全ソーラーのみの関数電卓です.ただの電卓だったらソーラーのみは多いですが,関数電卓になるとほとんどないんですよね.まあその辺のこだわりは別のお話

 

そんなわけで以上から電気で動く道具の洗い出しをすると

  • タンブラー
  • ノギス
  • case prep center
  • パウダースケール(電子秤)
  • パウダーディスペンサ
  • 懐中電灯
  • 電卓

と,このくらいでしょうか.こうして見ると意外と電気製品を使ってるのですねぇ.さて今回はマイベスト家電という話しなので,この中で選ばないといけないのですけど,どうしましょう.まずノギスは電池式じゃないものもあるし,デバリングも手動の道具があり,スケールも天秤式,電卓もソロバン,ディスペンサもメジャーを使えば事足りるなか,タンブラーの代わりに手で磨くというのはかなり面倒.なのでこれをベスト家電(なのか?)にしようかとも思いましたが,安全を考えると薬量を正確に測る方が,薬莢をキレイにするよりも大事なことに思えるので,私の選ぶベストリローディング家電は

 

パウダースケール

 

にしたいと思います.パウダースケールさん,受賞おめでとうございます.優勝賞品は乾電池1年分です.(1セットで何年ももつけど.笑)