週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

リローディングでピンチといえば!?

今週のお題「人生最大のピンチ」ということなので,このブログで扱うテーマから考えると,「リローディング人生におけるピンチ」とか「射撃人生云々」,「狩猟人生云々」の三つになりますでしょうか.射撃人生や狩猟人生は他の人も書きそうなので,私はこの中の「リローディング人生におけるピンチ」についてお話ししましょう.

 

リローディングでピンチといえば,やっぱりサイジングダイでスタックさせちゃったことかなと.と,その前にリローディングとは何か?ということは,普段からここを見て頂いている方には説明不要ですけども,お題エントリでは射撃に縁のない方にもご覧頂くことも多いので,一応簡単に説明しておきますね.

 

リローディングというのは,発砲済みの空薬莢に,火薬を装填,弾頭を装着して,再び実包として使用できるように再生することです.なぜそんなことをするかというと,特にライフル実包は高価なんですね.市販品は一発五百円くらいしたりします.ところが部材を買ってきて(もちろん許可は必要)自分で詰めれば百円台に抑えることも出来ますから,ライフル射撃をする人は自分で手詰めする人が多いのです.このブログはそんなめちゃニッチな内容を主テーマにしております.笑

 

ざっくりした説明をすると,発砲済みの薬莢は激発時の圧力で,薬室(発射される実包が装填されている銃内部の空間)内壁の大きさまで拡大しています.その大きさのままだと再利用するにも薬莢のネック(上の開口部)はガバガバ,弾頭はゆるゆるで保持できないし,薬莢本体の大きさも薬室ギリギリまで大きくなっていると銃に入りにくくなります.これらの大きさを再使用可能な基準値まで縮小させるものがサイジングダイという金型でこのような外見をしています.

 


これをリローディングプレスと呼ぶ,万力の仲間に取り付けて,下から使用済みの薬莢を圧入します.薬莢は分かると思いますが,こんな形です.

 


強力な圧力で金型に押し込むために,そのままだと真鍮で出来た薬莢の表面は,スチール製金型の内側と擦れ合わされ,局部的な摩擦熱により融着してしまいます.これを防ぐため金属同士の摩擦を低減させる油脂類(lube という極圧剤の一種)を薬莢に塗って,焼き付かないようにしますが,その lube の塗り方がうっかり不完全だったりすると焼き付いてしまうのです.これを「ダイをスタックさせてしまった」と言います.

 

スタックしてしまうと,にっちもさっちもいかなくなりプレスからも外すのも一苦労になります.ダイと薬莢をなんとかプレスから外せれば,スタックケースリムーバという道具で薬莢のおしりにタップをたて,スペーサを噛ましてボルトをねじ込んで外していくという力技で薬莢をダイから引き抜きます.

 


これは滅多に使うものではないため(私が実際にスタックさせたのは今までに一回だけ)用意していませんでした.しかしすぐに弾造りをしないといけなかったので,同じ機能を果たす手持ちの道具を組み合わせでどうにかしました.ただリローディング自体は1時間もあればできる作業なのにも関わらず,スタックしたのを外すのはもっと時間がかかります.その作業が終わるまでリローディングは出来なくなってしまうので,明日射撃に行くために夜なべしてる,なんてタイミングでスタックしてしまうと最悪です.それに一度スタックしてしまったダイは,普通内壁が荒れてしまうので,修理に出すか(時間がかかる),新しいのを買うか(お金がかかる)ということになってしまうのです.

 

というわけで,これが私のリローディング人生における最大のピンチだったかな.今だったらプレスもダイも複数セット持っているので,スタックさせちゃったら,とりあえずそれは脇に置いておいて,なんて出来るけど,これをやらかしたときはそんな状況じゃなかったので,ほんとピンチに感じてました.ちなみにこのときスタックさせたダイは,顕微鏡で内壁を観察したらやはり真鍮の跡が付いてしまっていたので退役させ,ついでにアップグレードさせたダイに買い換えました.と,転んでもただでは起きないのでした.笑