元日のエントリでは環境負荷が値段に現れるという相当に強引な仮定の下に,化石燃料カイロと使い捨てカイロの比較を行いました.↓
しかしあれは暴論に近い,粗すぎる検討でしたから,今回はもうちょっと定量的に考えて,二酸化炭素排出量で比較してみることにしましょう.
まずは白金カイロから.石油を燃焼させると大体その三倍の二酸化炭素が出ると言われています.そこでカイロ一回の燃料消費量を 25cc とします.ベンジンの比重は大体 0.7 ですから,25cc = 17.5g となり,二酸化炭素排出量は 53g となります.
次は使い捨てカイロです.これは鉄の酸化熱を利用しているため,使用時には二酸化炭素は排出されません.しかし,その原料である鉄は鉄鉱石中で酸化された状態になっているので,製造時に還元する際に二酸化炭素が発生します.鉄1トンを製造するのに,排出される二酸化炭素は 2.2 トンと言われているので計算にはこの比率を採用します.使い捨てカイロの重さは大体 40g くらいでしょうか.このうち平均的には概ね6割程度が鉄粉とされているので,鉄は 24g です.そしてこれを製造するときに排出される二酸化炭素量は 53g となります.
というわけで奇しくも二酸化炭素排出量自体は同程度という結論になりました.笑
ただ知っておきたいのは,ベンジンは石油から作られる化石燃料なのに対し,鉄の精製には主には石炭が使われているものの,近年は廃プラスチックや木質燃料などの利用もあり,燃料が化石燃料に限らない点です.使用後にゴミが残らないのがエコだと考えている人が多いですけども,目の前から見えなくなることがエコというわけではないですし,一見ゴミに見える使用済みの使い捨てカイロにも別の用途があったりもするので,いろんな視野で見比べると面白いかも知れませんね.