週末猟師

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リローディングダイのスナップオン形式を考える

ここでは Quick Change で QC と呼称することもありますが,シングルステージのリローディングプレスとリローディングダイの間につけて,ダイをスナップオン,あるいはバヨネット式とかいうでしょうか,要するにねじ込まなくてもワンタッチ着脱が可能になるキットがあります.

 

現状は2つのタイプがありまして,一つはうちでも使っているのですが,Hornady Lock-N-Load Press/Die Conversion Bushing です.

 

 

右がプレスに付く方の Bush です.日本で使われているダイは一般にサイズが 7/8" で,簡易的な廉価版プレスだとそのサイズのダイしか付かなかったりしますけど,鋳鉄製の一般的なシングルステージプレス(例えば RCBS RCIV とか Redding Big Boss II とか)では 1-1/4"-12 thread というやや大きなダイも付くように作られていて,そこに 7/8" へ変換するブッシュが最初から付いていることがほとんどです.

 


上の赤矢印の示している,プレス上部に張り付いて見える黒いのがそうです.このブッシュを外して,QC のプレス側ブッシュを入れ替わりにつけるわけです.

 

最初の写真の左側のブッシュが,ダイの方につけるブッシュで,これによってダイをわざわざねじ込まなくても,ワンタッチで着脱が出来るようになるという仕組みです.入替が面倒ならターレットという方法もありますけど,その話はまた追々.

 

さてこのようなブッシュを出しているのは実は Hornady だけではなくて,Lee も出しています.ただ今まで長いことダイ側のブッシュしか出ていませんでした.

 


プレス側は conversion bushing なのではなくて,最初から Lee のプレスでも Breech Lock というシステムが搭載されているものを買うしかなかったのです.ただこのシステムはよく出来ていて,ブッシュの上部に一部切り欠きがあるのですけど,プレス側にはここでロックできるような仕組みがあるのです.(下図,白矢印の部分)

 

 

Lee のはネジが細かく付いているので引っかかりがあって,着脱時のスムースさは Hornady の方が優れていますが,反面 Hornady は作業中の振動で結合状態が緩むことがあります.うっかり外れ掛かったまま力を入れてしまうと,ブッシュの切り欠きが変形して使えなくなってしまうという事故が起きがちです.Lee のほうはロックされるためにそんな事故がないのでいいと思いました.

 

というわけで,今まではプレスを Lee にするか,それ以外のメーカーにするかで自ずと QC の選択は決まっていたのですけど,最近になって Lee も QC キットを出してきたのです.それがこちら.

 




Breech Lock Update Kit です.これの良い点は Lee ならではの価格設定(安い!)だけでなく,1-1/4"-12 thread か 1-1/2"-12 thread のタイプを選べると言うことです.まあ 1-1/2" なんて 50BMG くらいでしか使わないので,日本では一般的ではないとは思いますけども.

 

このキットはプレス側の breech lock adapter(ブッシュ)と,ダイ側の spline drive lock-ring eliminator という,ロックリングと一体化したブッシュと,それを着脱するときに使うプラスチック製のレンチがセットになっています.

 

外すとこんな感じ.

 

 

右の黒いブッシュが肝です.これをプレスにつけるわけですね.ちゃんと内側は breech lock してます.

 


付いているダイ側のブッシュはアルミ製ですけども,旧来の鉄ブッシュも互換性があって使えます.

 


このタイプだとロックリングは別につけないといけないですけどね.うちは旅プレスが最初から Breech Lock 仕様なので,ダイはこんな感じになっております.

 


これをプレス側のブッシュにつけてみると,こんな感じに咬み込むというわけ.

 


しかし気になるのがプレス側のブッシュがアルミな点です.ダイ側のブッシュがダメになって交換するというのはまあ仕方ないとしても,プレスの方のブッシュがダメになるのは避けたいですよね.安いから買い換えろってことなんでしょうけど,日本だとこんなものを一つ買うのでも時間がかかりますからねぇ.あとは純正プレスと違ってロックボタンがないので,作業時の振動での外れやすさに関し, Hornady に対しての優位性があるのかが微妙です.

 

なお Hornady の QC はプレス側もダイ側もダイキャスト製ですが,私の経験上,作業に失敗してダメになるのはほぼダイ側です.なので,ダイ側のブッシュは予備を持っています.

 

というわけで,QC に選択肢が出来たのは喜ぶべきことですけども,よくよく比較して選ぶと良いかなと思います.私が思うそれぞれの特徴は以下の通りです.

 

Hornady の特徴
(1)着脱時の引っかかりが少なくてスムース
(2)作業失敗でダメにするとすれば大体ダイの方(ダイ側の予備があると良い)
(3)Hornady はメーカーが米国外への販売を制限しているので入手性の先行きが不透明

 

Lee の特徴
(1)価格が安い
(2)ダイ側プレス側共にアルミ製なので耐久性に不安がある
(3)だからといってダイ側に旧来の鉄ブッシュを使うとプレス側をダメにする可能性
(4)変換キットだとせっかくのロックが機能しない

 

私の場合はこれまで主に Hornady で来ているので,今更乗り換えるのは難しいですけど,今から買う人は悩むでしょうね.それぞれ一長一短がありますから.でもそこを考えるのが楽しいのですけども.