週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

BC と SD を考える

リローディング本は何冊もありますが,この中で Nosler 本の私の評価はそれほど高いものではありませんでした.なぜなら前半の読み物部分は他の本程充実しておらず,データも Nosler 弾頭ばかり.私は Sierra や Barnes しか今のところは使ってないので,あまり近しい感じはしませんでした.しかし改めて読んでみると特徴がありますね.Nosler は弾頭メーカーですから,コンポーネントの中でも弾頭(ただしジャケット弾しか触れられていない)の説明は他と若干違いを感じます.だからといって詳細というわけではありませんが. Lyman 本では Article のほうに入っていた BC や SD に関する記述が,コンポーネントの解説の方にちゃんと入っているところが Nosler だなぁと思いました.レシピを見ていると使用弾頭の欄に BC や SD の記載がありますが,興味はあるけどよく知らないという方もいらっしゃるかも知れないので一部 Nosler 的に説明してみます. まず BC は Ballistic Coefficient です.弾道係数と訳されます.要するに空気抵抗を表す数値ですので,弾頭の形状に影響を受けます.昔はそれほど重視されていませんでしたが,遠距離射撃の発展に伴い注目されるようになってきた概念です.BC値が大きい(抵抗が小さい)弾頭は飛翔による速度の低下が緩やかなので,弾速の維持される距離がより長くなります.これは遠距離における弾頭のエネルギーが大きいことを示すので狩猟にも適していると考えられます.また横風などの影響も受けにくいです. ただし狩猟における射撃距離は普通は 300m より近いでしょう.この場合 BC 値というものは弾頭の持つべき性能の中では大きなファクターとは言えません.高 BC 値の利点を感じられるのは通常 500~600m を越えるような目標を射撃する場合です.結局狩猟用弾頭で求められる性能は BC 値には表れないのです. ついで SD ですが,これは Sectional Density で断面密度という意味です.弾頭重量を弾頭を前から見たときの面積で割れば良いのですが,実際に用いられている SD 値の求め方は弾頭重量(lb)を弾頭直径(")の二乗で割ります.例えば .308" dia の 150gr 弾頭の SD は 0.226 となります.(なぜ gr/inch2 にしなかったのかは知らない.次元は同じなので単に面倒だったからと思われる.) SD は狩猟にとっては重要な数値です.なぜならこれは貫通力を表すからです.もちろん弾頭の構造も重要なのですが,一般には高い SD は骨などの硬い内部構造を貫通することを意味します.もし弾速や弾頭構造が同じなら,高い SD を持つ弾頭の方がより深く貫通します.同じ口径なら弾頭重量に SD 値は比例しますが,SD で弾頭を比較することは口径の近い弾頭でしか実際には意味を持ちません.狩猟には弾頭構造がかなり重要な意味を持ちます.例えば高 SD でもバーミント弾頭だと,低い SD でも頑丈な構造を持つ狩猟用弾頭のようには大型獣に対応できません. 結局の所は狩猟用に使う範囲では BC も SD も見なくてよいってことですね.それより弾頭の構造の方が重要だと言うことを Nosler 本は指摘しています.