週末猟師

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【再考】トリマー

私の場合リローディング機材を揃えたのがライフル申請と同時でした.もちろん機材に関してはある程度の吟味はしたつもりですが,それでも時間的に余裕があったわけではないので,今思えばこうしておけばよかったという点がいくつかあります.だからといって買い換える程の欠点ではないので,不満を持ちながらもこのままなんだろうなぁと思うわけですね.

だいたいライフルを選ぶのには一生懸命になりますが,射台にいる時間よりもリローディングベンチの前に座ってる時間の方が長いのですよ.それにライフルは沢山撃てば寿命が来て買い換えるでしょうが,リローディング用品なんてなかなか壊れるものでもないので買い換えるチャンスというかモチベーションは高くなりにくいです.要するにライフル以上にリロード用品も買う前にはしっかり吟味した方がいいと思う,というのが私の主張です.苦笑

なので,現在スラグだけど何年後かにはライフルという人たちが,そのときが来ていざ短期決戦に慌てても迷いが少なくなるように,自分の反省も含めて,改めて考える【再考】シリーズをエントリしたいと思います.費用も掛かることですから,計画的にいきましょう.ライフルは銃本体より周りにお金が掛かるものですからね.余談ですが私の場合一番高かったのはスコープでした.本体の倍近く?します.リロード用品もいろいろ買っちゃいましたので,当然銃より掛かってます.

さて前置きが長くなりましたが,シリーズ初回の今回はトリマーを採り上げます.現在主に使用しているものは Forster です.

 

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もちろん悪くはないのですが,いろいろ見ていると改善したい点が見えてきます.薬莢のヘッドを保持するコレットとカッターがまっすぐ当たるようにガイドするパイロットが別売りになっています(最初から付属のキットもある)が,実はこのコレットも専用品というわけではなくて,一つのコレットで何種類かの径のヘッドが咬めるようになっています.要するにユニバーサルです.見た方が早いですね.

 

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実はこのユニバーサルってのはくせ者で,確かに一つで何種類かが使えるからよさそうに思うかも知れませんけど,日本ではそんなに沢山の種類(ヘッド径)を持ってる人いないですよね?それにうちでも3種類のキャリバーがありますが,ヘッド部分の大きさは全部一緒なのです.(243Win, 308Win, 30-06 はみんな一緒)

ユニバーサルの欠点はセンターあわせがしにくい場合があるということです.何種類かに対応するためにコレットが段々畑状になっていまして,その段差がそれほど大きくないので,真っ直ぐ薬莢を当てないと芯合わせ出来ないのです.これがもし一種類だけの直径に対応する専用デザインだったら,どうやっても適切にはまるようなデザインが出来るはずなのです.結局ユニバーサルってある意味半端になっちゃうわけです.

あともう一つの欠点はカッターのストッパの調整です.粗調整は手でずらしていって,最後にイモネジで少し調整が出来るようになっています.この方式はずれる心配がほとんどないので,一種類のケースだけを扱うなら欠点にはなりませんが,うちでは現時点で三種類のケースを使っているので設定変更に手間が掛かります.

というわけで,薬莢保持方法と長さの調整方法の二つの観点から他社製品の検討をしてみましょう. まずは薬莢保持に関しては Hornady が良さそうです.

 

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cam lock と呼ばれている,薬莢の保持が通常プレスで使うようなシェルホルダで行われています.すなわちベース径に適合した専用のものを使うことになるので,前に述べたようなユニバーサルならではの中途半端感,不具合がありません.もちろんシェルホルダだけだと遊びがありますから,ホルダそばに付いているノブ(shell lock handle)を回して締め付けます.これはシェルホルダの中央の穴からスピンドルが出てきてプライマホールの周りを押しつける仕組みです.これによりセンタあわせをするわけですね.

余談ですが,このトリマーで使用するシェルホルダは Hornady の製品を使わなければなりません.なぜかというと,スピンドルの直径が他社のシェルホルダの穴より太いのです.Hornady のシェルホルダはこの穴が他のメーカーのものより大きいわけですね.まあプレスと共用する必要もないくらいの小さなものですから,改めてもう一つトリマー用に買えば良いだけです.

もう一つは Lyman も簡単そうです.

 

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これもユニバーサルではありますが,横からはめこんでノブを回すと自動的にセンターあわせがされて固定されます.これもユーザーの多い(評判の良い)トリマーですね.

これらの方式はユニバーサルの欠点を解消してくれていいのですが,長さ調整に関しての煩雑さはあまり解消していません.この欠点を解消してくれるトリマーを見てみましょう.こちらです.

 

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Redding です.見て分かるようにマイクロメータがついています.もちろん最初にそれぞれのケースの trim-to-length に微調整しながら合わせる必要はありますが,そのときのマイクロメータの読みをメモしておけば,次からはその数値に合わせるだけでよいのです.複数の長さのケースをあつかうのであれば,この方式はありがたいですよね.

残念ながら薬莢を保持する部分はユニバーサルなコレットタイプです.ロックするために回転させる部分がありませんが,このボタンが機能切り替えをするようです.付け方としてはまずマウスをカッター側のパイロットに差し込んでから,ハンドルを押してベースをコレットにあてます.それから上のボタンを押しながらハンドルを回すとコレットが締まります.トリミングが終わったら,またボタンを押してハンドルを反転させるとコレットが緩むという仕組みになっています.面白いですね.果たして作業効率がこれで上がるのかは分かりません.実際に自分で使ってみないと....

余談ですが,本体の材質は Redding が鋳鉄,Hornady はアルミ合金のようです.個人的にはケースの保持は Hornady か Lyman, 調整は Redding がいいので,いいとこ取りなのが出てきてくれればいいのですが.笑

ちなみに L.E. Wilson / Sinclair のこちらのトリマーも高めだけど格好良いですよね.

 

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長さの調整はマイクロメータで文句ありません.保持方法としてはケースゲージみたいなホルダにケースを入れてセットします.このケースへの出し入れがちょっと面倒くさそうですね.ケースまるごと保持してセンター合わせもおこなうため,カッター側にパイロットがありません.操作を考えると,ケースホルダがステンレスでないと錆びて悲しいことになりそうです.頻繁に触れる部分ですから.でもステンレスって書いてないので,がさつな私には難しいと思われます.苦笑

トリマー一つとっても,いろんなメーカーがいろんなトリマーを出していて,それぞれに長所短所があります.いいとこどりのってなかなかないのですよね.このエントリが検討の一助になれば幸いですが,それでももっと他にもあるのではないかと研究に時間を掛けたい人もいるでしょう.でももう許可が下りてトリミングが必要な薬莢が大分出てきてしまった!というのであれば,こういうのでとりあえず時間稼ぎをするというのもあります.Lee のトリマーです.まず CUTTER & LOCK STUD ($7.49) を買います.

 

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そしてキャリバーに合わせた CASE LENGTH GAUGE($5.49) を選ぶのです.

 
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これらを組み合わせることで一応トリミングが出来ます(手で持っても出来るし,電動ドライバドリルにかませても使える).長さは規定通りにしかなりませんが,危険を避ける意味では十分だと思います.とりあえずこれを使っておいて,気に入ったトリマーが見つかったらそれを買い,Lee のこれは予備に回すという作戦です.小さいからしまっておくのに場所も取りませんし,要らないと思ったら周りで新しくライフルを始めるという人にプレゼントしてもいいですね.実際私の場合は,トリマーの設定が合ってない薬莢をトリミングするのに,数が少ない場合は,再設定が面倒なので今でも使います.

 


 

#追記#

トリミング長の設定については現在使用している Forster をはじめ, Lyman や Hornady のような読みのないシステムであっても,目標としている長さの薬莢を使って合わせれば粗調整は簡単に行えます.ただし,そこから定量的に微調整するのは上記の通りマイクロメータがあった方が遥かに簡単になります.もし長さは安全な範囲で構わないというのであれば,薬莢の保持方法のほうを優先して検討するのがよいでしょう.Hornady と比べた場合 Lyman のほうが脱着するのに必要なハンドルの回転角度が小さいように思われます.