週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

プレス十傑(1)

リローディングプレスっていろいろありますが,どれにしようか迷うときが一番楽しいですよね. 日本ではピストル装弾のリローディングはほぼなくて,やるなら散弾か,ライフルのボトルネック装弾のリローディングとなります.本稿はライフル用のプレスについてです.プレスにはベーシックなシングルステージ,ターレット式,プログレッシブ,アーバープレスといった種類があります.ヒロシさんからのコメントにもあったように,このうちプログレッシブは操作が重くなるので,ライフル弾はきびしいですし,なにより日本では一日百発までしか無許可製造ができないので,プログレッシブを使う意味が希薄です.さらに一発一発丁寧に作ることを考えるとプログレッシブは不適と言うことになります.ベンチレストなど極限の精度を追い求める人たちにはアーバープレスが人気らしいですが,一般的なユーザーはシングルステージかターレットとなるでしょう.ただターレットはツールヘッドが回転する分,遊びがあります.シングルステージでもダイをスナップオンするタイプはこれを使わないときより遊びがありますが,普通にねじ込み着脱するようにも出来るので,速さをとるか,精度をとるか,自在に選ぶことが出来ます.そういう意味では普通のシングルステージを選ぶのが無難かと思います.そしてフレームの材質には鋳鉄(cast iron)とアルミがありますが,もちろん鋳鉄の方が頑丈です.特にボトルネック装弾の場合は鋳鉄を選ぶべきというのが定説です. このように世の中にあるプレスの中から,鋳鉄製のシングルステージに絞ったとしても,現在市販されているモデルはたくさんあります.そこで入手がそれほど難しくなく,メジャーどころと思われる代表的なプレスから10種類,私の独断と偏見で選びまして,講評を加えていきたいと思います.ただし実際に使用しているわけではないので,見落としや間違いがあるかも知れません.ご寛恕ください. まずは売れ線且つベーシックなこちらからです.
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Rockchucker Supreme, RCBS, $140.99 これが鋳鉄製では安い方で,必要十分な性能を持つ基本モデルと言えます.私も使ってます.笑 標準ダイ(7/8")以外にも 1-1/4" ダイ(実際はこんなダイ使わないけど)が取り付けられるようにレデューサー(変換スリーブ)がついているため,これを外すと Hornady の Lock-N-Load conversion bushing(クイックチェンジ)が装着できます.このプレスの唯一の欠点は,使用済みのプライマを受ける部分です.ラム(薬莢を載せる可動円柱部)から飛び出たプライマを黒いプラチック製の容器で受け取りますが,ラムとの隙間があるとそこから落ちてしまったり,またその容器がプレスを挟み込むように取り付けられるため,廃プライマが一杯になった容器をはずそうとするとき勢い余ってプライマをこぼしてしまったりするのです.もちろんサードパーティから対策品は出ていますから,気になる人はそういうのを使えばいいのですが....逆にいうと,ベストとは言いませんが,この欠点以外は欠点らしい欠点が見当たらない,基本に忠実で万人にお勧めできるプレスだと思います. 続きましてはこれに次ぐ人気のモデルです.
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Big Boss II, Redding, $185.99 Redding も RCBS と同じような総合リローディング用品メーカーで,先ほどの RCBS のモデルに相当する Redding のプレスがこちらです.前者とだいたい同じですが,廃プライマの扱いが優れています.ラムの下にチューブが接続されており,その中に落ちていくシステムなので散らかりません.これも 7/8" の標準ダイに加えて,1-1/4" のダイが付くような変換スリーブがついているので,前に説明したクイックチェンジが付けられます.欠点は価格くらいですね.プライマの扱いを差額5千円かけて改善するか,それとも気にしないかでどちらを選ぶか決まってくると思います.あとはフレーム開口部が上の RCBS に比べてやや大きめなので,マグナムでもより作業しやすいかも知れません.現在の私だったらこれを買うだろうという,マイベスト...というか,マイネクスト(笑)ですね.(追記)あとはヒロシさんからのコメントにもありましたように,こちらはハンドルを左に付けることが出来ません.まあ左から薬莢を出し入れしやすいようにオフセットしているので,右にしか付けないだろうということなのでしょうけども. 次は割と新しいモデルであるこちら.
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Marksman, MEC, $189.99 MEC というメーカーはリローディング用品としては散弾用のプレスで有名ですが,本業は金属タンクなどの製造なのです.ですから,鉄板を曲げたり溶接したりする技術はピカイチなのですね.散弾用のプレスはその技術でとてもよいものを出していると思いますが,鋳造品に関しては正直未知数です.そんなメーカーが出してきたプレスなのでまだそれほど数が出ていないのか,評価も定まっていません.ただ目にする数少ない評価はそれほど悪くありません.ダイは 7/8" の標準的な物以外に 1-1/4" も付きますので,クイックチェンジは装着可能です.廃プライマはプレスの下から出てくるようになっていますが,閉じた容器では無いので飛び散る可能性はありそうです.排出されるところはどんなプレスでも汚れやすいので,このプレスの構造だとベンチの下をのぞき込んで掃除する必要があるのでは無いでしょうか.ちょっと面倒な気がしますね.このプレスの大きな特徴はラムに付くシェルホルダが遊動式になっていることです.ただ普通のプレスでもシェルホルダは交換式ですから,遊びは必ずあります.そしてその遊びの中でダイと中心軸が十分あう加工精度になっているべきなので,この点については個人的には特長と言えるのかは疑問に思っています.というわけで,あとの部分は標準的なプレスと変わりませんし,特に安いわけでもないですから,選ぶとすれば,MEC が好きとか,黒いのがいいとか,そういう理由になるかも知れません.私だったら選ばないかな. 長くなったので part 1 はこの辺で.つづく.