リローディング用品はすでに一式揃っていますが,現在練習中なだけにも関わらず,この時点ですら考えると無駄な買い物だったなと思うものもあります.もちろんやり方,求めるものによって最適な用品の組み合わせは違うので,無駄だったと思う物を省いた組み合わせをもって,万人にとって最適な組み合わせとなるはずはありませんが,とりあえず意見としては役に立つかも知れないので,書いてみることにします.
まず用品を揃えるのが面倒だからキットにしちゃえと思ってる方も多いと思うのですが,私はそれには無駄が多いと考えているので,その話をしたいと思います.
一例ですが RCBS の Rock Chucker Supreme Master Reloading Kit の例を考えてみましょう.
このキットに入っているのは以下の用品です.
• Rock Chucker Supreme Press
• Model 5-0-5 Reloading Scale
• Uniflow™ Powder Measure
• Hand Priming Tool
• Universal Case Load Block
• .17-.60 Debur Tool
• Hex Key Set
• Case Lube Kit
• Powder Funnel
• Speer® Reloading Manual
順番に言及してみますね.
1.Press
まずプレス本体.これはたたき台のつもりでしたが,これはいいと思います.RCBS は結構まじめな会社みたいで評判もいいし,プレスの作りも良く定番と言って良いと思います.プログレッシブとかどうとかいう話はここでは触れません.日本国内では要らないだろうと思いますし.
2. Reloading Scale
これは天秤ばかりです.が,今は 0.1gr 分解能の電子ばかりでも $20 くらいで買えてしまうので,そちらのほうがよいと思います.使い勝手も良いとは思えません.このキットが構成された当時は適当な価格で適当な精度が出せなかっただけだと思います.
3. Powder Measure
定体積の火薬をはかりとる道具です.一発一発測るのは大変なので,これが入っているのはよいと思いますが,Uniflow は最も基本的な機種で,せめて baffle が付いていたらと思います.(火薬がホッパーに一杯入っているとその重さで圧縮されるので,同じ体積を取り出しても多く入ってしまう可能性がある.これを防ぐために,上からの力がシリンダ部分に直接掛からないようにする板が baffle です.)まあこれの有無でどのくらい変わるか実験はしていませんが.ちなみにベンチに固定する適当な手段がなければ,スタンドを別に買うことになると思います.
4. Hand Priming Tool
プライマーの取り付けはプレスの機能としてあるのですが,使い勝手はこちらのほうが上なので付いているのだと思われます.プレスで付ける場合は一個一個プライマをプレスの小さなお皿(金具のへこみ)に載せないといけないので数が多くなると便利ではないのです.ちなみに RCBS の現行はユニバーサルですが,本当は専用のシェルプレートを使うもののほうがいいのではないかと思ったりもしています.(まだ練習中なので確信にまでは達していませんが)
5. case block
薬莢を置いておく穴のいっぱい開いた台です.必要だとは思います.が,ユニバーサルということは,使えないへこみとかもありそうで,これが使いやすいかは分かりません.
6. deburr tool
トリミングしたときケースのマウスを面取りしたりバリをとったりするものですが,このタイプを使うことになるかはやり方次第です.私はこのタイプは使わないかも.
7. Hex Key set
ダイのロックリングを固定する芋ネジを回すためのものだと思いますが,例えば Redding だとL型が付属していますし,RCBS でもこの組み合わせだと1サイズしか使わないと思うので,セットになっているこれがいるかは疑問です.うちは別に hex key はあるので要りません.(インチサイズ)
8. case lube kit
うちは wax を使っているのですが,スプレーの方が簡単そうですし,それだとラノリンをアルコールに溶かせばよいようなので,結局要らないかなと思います.
9. powder funnel
いろんな口径に使えるタイプということは,全てに中途半端になってしまう危険性があります.私は口径にあったファンネルを用意したほうがよいと思っているので使いませんし,コンプレッションロードにしたい場合は上から落とすように入れた方が詰まるので,別の形の方がいいかも知れませんね.
10. manual
一冊はあった方がいいとは思うのですが,弾頭メーカーのマニュアルは載っているデータが自社製弾頭ばかりだったりするので,Speer しか使わないならいいのですが,そういうことでもないと思うし微妙です.(うちだと現時点では Sierra, Nosler, Barnes あたりになりそうです.)またデータは最近はウェブで検索できるので,読み物として考えるなら他の入門書を読んだ方が楽しいかも.
というような感じです.このセットに含まれるほとんどの物を一線で使うというのであればかまいませんが,他の物を選ぶことになりそうなものとか,使わない物とかが結構入っているように思えるので,バラで買った方が良いのではないかというのが私の意見です.まとめ買いだからと言って価格もそんなに安く済むわけではないし,液体のケースルーブが入っているので,可燃物で輸送で引っかかったりすると面倒だなという気もします.
というわけで,私の現時点での結論は「セットではなく,一つ一つ吟味して注文しよう」です.道具の吟味自体も十分楽しめるステップだと思いますが,ただこのセットが気に入ったのであれば,追加して必要だと思うのは適合するシェルホルダーとダイセット(full-length die set = full-length sizer die + seater die)です.これは汎用品が各社から用意されているので,大体どの会社の物でも使えます.現にうちは RCBS が多いですが,die set は Redding です.これは在庫の関係でそうなっただけなのですが.....細かいところがメーカーによって違うので,そういうのも見比べてみると楽しいと思います.(使ってみないと分からないことも多いですが.ちなみに私自身も練習中なので今後意見は変わっていく可能性は十分あります.)
enjoy hand loading!