今週のお題「生活の知恵」ということなので,本ブログのメインテーマであるリローディングに絡めて「リロード生活の知恵」としましょう.笑
当ブログに初めてお越しの方に説明しますと,リローディングとは使用済み薬莢を使える状態にして ( case prep ) から,雷管,火薬,弾頭をつけて,再び実包に組み直す作業です.
発砲すれば薬莢以外はなくなりますけど,真鍮で作られている薬莢は値段も結構しますし,何回も使えるものですから,使い捨てにするのはもったいないのですね.
ところで銃規制の厳しい日本でも銃が好きだという人はそこそこいると思いますけど,弾に注目する人は少なそうですよね.しかし射撃にしろ狩猟にしろ,実際に銃を使っているシーンでは,肝心なのは的や獲物に弾が当たることなわけですから,弾の方が重要です.そしてその弾をキチンと当たるように加速するためには火薬の種類や薬量,雷管が大事で,的中精度をあげるには薬莢の整備状況(に加え銃腔やマズルの状態もあるが)のほうが重要です.銃本体なんて弾を放出するための台に過ぎません.なーんていうと言いすぎかも知れませんが.でも,釣りだったら釣り竿やリールよりも魚との接点である釣りバリやハリスが大事なのと一緒です.竿がなくても釣れるけど,鈎がないと釣れないわけですからね.
さて本題に戻りましょう.世の中には多種多様なキャリバがあります.キャリバとは口径のことですが,ここではカートリッジ種類の意味で使っています.例えばライフルだけでも 308Win, 30-06, 5.56NATO...と例を挙げたらキリがなく,それこそ何百種類もあります.
いろいろなライフル実包(写真は wikipedia より)
発砲しますと薬莢は銃の薬室の内径に合わせて膨張します.真鍮は内圧で膨張しても,その圧力がなくなると多少サイズが戻るという現象が起きるため,薬室に張り付くことなく,発砲後に空薬莢が抜き出せる程度には縮小します.とはいえ元のサイズよりは大きくなっているために,弾頭を取り付けようにもそのままではユルユルで把持できないし,薬室とのサイズ差がなさすぎて,再装填に手間取ることがあります.そこで case prep の段階では,薬室に対して余裕を持たせた所定の大きさまで薬莢を圧縮する工程があります.これをサイジングと言い,作業としてはダイ(金型)に押し込んでから引く抜くことになります.もちろんこのダイはキャリバ毎に用意された専用品を買う必要があります.
一方,薬莢に火薬を入れるときに使うファンネル(じょうご)
RCBS Powder Funnel
や,リロード作業中の薬莢を建てて保持しておくためのローディングブロック
RCBS Universal Reloading Tray
などはある程度のサイズをカバーするようなユニバーサルサイズの製品があります.特にダイ以外のリローディングツールをセットにしたものに入っているものは基本的にユニバーサルタイプです.実際に上で例示したファンネルは .20〜.45" cal. に対応しますし,ローディングブロックはピストルサイズからウルトラマグナムまでカバーします.
しかしそれはユーザーからすれば,常にサイズが緩めのものを使っていることになるわけです.ところがサイズピッタリのものもあるのですね.例えば 308Win や 30-06 といった 0.308" 口径だったら,それらキャリバに使える専用サイズのファンネルがあります.
SATERN Funnel for 0.308"
もちろん 243Win とかなら 6mm 用があります.またブロックも薬莢のヘッド部分の大きさが 308Win, 30-06, 243Win などはこちらがジャストサイズ.
Lyman Loading Block 0.485"
このようなピッタリサイズを使うと,作業中にカタカタしたり斜めになったりすることもないため,作業でのトラブル発生率も低くなるわけです.
というわけで「リロード生活の知恵」としては,道具にはユニバーサルタイプよりも,可能な限り,使用するキャリバにあわせた専用サイズの道具を選ぶことを挙げたいと思います.使い勝手が向上し,妥協感が排除され,より楽しくなります.日本ではどうせそこまでたくさんの銃(キャリバ)は持てませんからね.
もちろんアメリカ在住の愛好家などはピストルからライフルまでいろんなキャリバを使います.そういう人がサイズ毎に専用品をわざわざ用意していたらキリがないですし,無駄が多いですから,ユニバーサルはユニバーサルで存在意義はあるのでした.