週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

ゲージの話⓪:薬莢と薬室の規格

リローディングに使うゲージの話をしようと思ったのですが,まずは銃のシステム自体をご存じない方のためにも規格について述べておかないと,なにそれ?となるので書いておきたいと思います.ご存じの方は飛ばしてください.

 

耳にしたことはおありと思いますが,世の中には 44 Magnum やら 30-06 Springfield やら数限りないカートリッジ種類(私はキャリバと呼んだりする)があります.例えば使いたい銃に .308 Winchester と刻印されていたならば,火薬店で同じ .308 Winchester と書かれた弾を買ってくれば使えます.しかし種類が違えば普通は使えません.これは銃にも弾にも規格があるからです.これらの互換性などを保証するために規格を公示している団体が SAAMI (Sporting Arms and Ammunition Manufacturers' Institute) です.

 


例えば 308Win のページを見るとこんな風な感じになっています.

 


カートリッジ側と薬室側の両方が規定されていて,図を見るだけでもかなり複雑です.それぞれ決まっていることには理由があるのですけども,細かいことは省略して,我々のような弾職人がまず気にするところはヘッドスペースです.銃の薬室に弾を込めたときにはどこかで引っかかって,それ以上奥には入らないようになっています.その引っかかるところから,薬莢の底までの長さをヘッドスペースと言います.

 


ハンドロードした弾のヘッドスペースが許容量より大きいと,遊底(ボルト)が締まらず,そもそも銃に装填できなくなります.この長さが許容内かを確認するものがケースゲージです.長さだけならノギスなどで測れると思われそうですが,ネックのどこで引っかかるかは分からないので,ノギスで測るのは難しいのです.

 

なお装填できるかどうかはもちろん太さも関係あります.銃の薬室側の大きさは同じキャリバーの銃でも実は個体によって微妙に異なります.ですから実際に使用する銃に装填してみるのが一番確実なのですけども,射撃場や猟場でもない場所,ましてや自宅などで実包を装填するなんてのはかなりゾッとする行為ですし,そもそもが違法です(不法装填罪).そこで SAAMI の最小値に準拠した薬室モデルがあって,これに入れて確認するのが安全です.それがミニマムチャンバーゲージとかミニマムディメンジョンゲージと呼ばれるものです.

 

次のエントリからこれらの話をしたいと思います↓

weekendhunter.hatenablog.com