週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

minimum load と maximum load

火薬って多すぎると危ないってのは誰もが直感的に思うことですが,リロードマニュアルには minimum load (starting load という場合もある)も載っていますね.これは少なすぎても危ないということらしいです.バレル内に停弾してしまうという意味では無く,少なすぎると異常燃焼がおきて高圧が発生することがあるらしいのです.不思議ですよね.それもなぜ起きるかは正確には分かってないらしいのです.それまた不思議ですね.

銃砲店の人に聞いてみたところ,火薬が少ないと薬莢内の空気が多くて,その酸素によって異常燃焼が起きるのではないか,と言っていましたが,私個人としてはその空気の量など微々たるモノですから,「空気」なのでは無く,「空間」によるのではと想像しています.無煙火薬は外に出して火を付けると燃えはしますが,爆発的な燃焼は起きません.無煙火薬が爆燃するには高温だけでなく高圧も必要なのです.ですから,雷管(もしくはそれらから引火した無煙火薬)からの高温高圧ガスが別の無煙火薬に吹き付けられることによって爆燃すると考えれば,空間が多い方が同時に爆燃する量が増えるでしょう(焼肉で肉が薄い方がすぐに焼けるのと同じ).緩燃性火薬の方がそのような状況を作り出しやすいと言われていますが,それはこの理屈に矛盾しません.

この理屈が正しければ,薬莢の体積を小さくすることによって,減薬が可能になるはずです.実際は無害な詰め物を無煙火薬と弾頭の間に詰めることになるでしょう.まあ実際にはそんな面倒くさいことをしなくても,減薬しても問題が起きないと言われている速燃性火薬にすれば済む話で,それを実際に製品化したのが trail boss ではないかと思うわけですが.あとは無煙火薬にも含まれている緩燃剤の成分を増やす方法もあるかと思います.

と,話が最初から脱線してしまいましたが,無煙火薬を買ったまま使う限りは minimum load から少しずつ増薬して,maximum 以上には増やさないようにする,というのが基本です.maximum はどのように決まっているかというと,多分 SAAMI (Sporting Arms and Ammunition Manufactures’ Institute) による基準からだと思われます.例えば 30-06 の場合は 63800 PSI 以下と決まっていて,銃自身はそれに耐えるよう,弾はそこまで上がらないように作られます.ちなみに弾の場合,同じように作ったロット内でもばらつきがあるので,十個を取り出したときの平均が最大 61500 PSI まで,全体の平均は 60000 PSI までなどといった決まりがあります.リローディングマニュアルのデータはさらにこれらに余裕を持たせているはずなので,低めの値が載っています.が,同じ低めでも弾頭メーカーのマニュアルと,火薬メーカーのそれはデータが異なります.例えば Sierra 155 gr. HPBT を 30-06 に載せ IMR-4064 を使うとき,火薬メーカー Hodgdon のマニュアルでは Starting 49.0 gr.(2811fps), Maximum 53.0 gr.(3005fps) ですが,弾頭メーカー Sierra のでは Starting 44.9 gr.(2600fps), Maximum 52.1 gr.(3000fps) (参考:2800fps だと48.5 gr.) となっています.おもしろいのは火薬メーカーのマニュアルの方が総じて多めに書いてあることです.条件のとり方が恣意的なのかも知れませんね.苦笑