週末猟師

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リロード用散弾薬莢の選び方

用途によっても異なりますが,基本的にはリローディングマニュアルに記載のあるものを選んだ方が良いです.昔聞いたことがある話では,ロンデルの長いもの(ハイブラス)の方が高圧に耐えられるから良い,というのがありました.しかし,これは少なくとも現在の製品では正しい認識ではないと思います.今のロンデル(brass, head)の機能は,排莢を確実にすることと,雷管の保持を容易にすることくらいだと思います.現に全体がプラスチック製の薬莢もあるのです.ただしリムの部分は硬くないと排莢に支障が出るため,この部分までしっかりとしたプラスチックにするよりは,ロンデルだけ金属にした方がコストが下げられる可能性があり,それがロンデルの存在意義となっているのかも知れません.いや,もしかしたら実は要らないのだけど,単に消費者が求めているというだけだったりして.化粧品も高い方が売れるから高くしているというメーカーの話を聞いたこともありますしね.苦笑 まああくまで素人の推測ですから,メーカーの方のお話を伺いたいものですね. さて話を戻しましょう.以前は散弾リロードと言えば,Winchester AA が鉄板でした.実際の所は Winchester でもタイプがいくつかあり,選ばれていたのは Compression Formed と呼ばれているものです.しかし,これは十年くらい前だったかにディスコンになり,現在では入手困難です. ところで散弾の断面の一例ですが以下のようになっています.
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この図の D の部分をベースワッド(basewad)といいます.これが側面の壁(wall)と一体になっているものを Compression Formed と言います.一方この図では別の部品になっていますが,このようなタイプを Polyformed といいます. 散弾のレシピを決めているのは実はこのベースワッドの構造(形状)なのです.ですから,ロンデルのような外観は関係ありません.Compression Formed の方が, Polyformed に比べてベースワッドが低くなる傾向にあります.ベースワッドが低くなれば,上のワッドは長いものが必要になります. ワッドはいろんな種類がありますが,現在の散弾用は大体以下のような構造になっています.
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下の部分が火薬のすぐ上に載るわけですが,この部分をガスシール(gas seal)といいます.一番上は散弾が入るところでショットカップ(shot cup),そしてその間の部分がレッグセクション(collapsible leg section)です.これらが一体成形されているのでワッドコラムと呼ばれることもありますが,今ではこれが普通なので一括してワッド(ワッズ)と呼ぶ方が多いですね. ワッドの選び方ですが,薬莢に火薬とショットを入れたときの高さを,薬莢を適切な深さでクリンプしたときの長さから引いた高さのものを選択します.同じ薬量でもベースワッドの構造によって火薬を入れた時の高さが変わるので,適切なワッドは変わるわけです.しかし日本で入手できるワッドの種類は限られているので,ハンドブックに載っているレシピの多くは使えません.火薬もいろいろ揃えることは難しいので,ますます選択範囲が狭まります. 話を薬莢に戻しましょう.Shotshell Reloading Handbook には載っているレシピに使われている薬莢(hull)の断面図が原寸大で載っています.日本ではあまり見ないような薬莢もありますが,断面が同一であればレシピは同じになりますから,いろんな種類の空薬莢を切断してみて,どのブランドがそのレシピを使えるか分類しておくとよいですね.そして実際に作ってみて正しくクリンプできるか確認します.ワッドの圧入が適切で,クリンプ深さも正しく出来れば,そのレシピは使えることになります. ただしヨーロッパと日本の薬莢はプライマーポケットが米系のプライマーから見ると大きすぎて脱落する組み合わせがあります.接着剤で付けたり,プライマーポケットを狭める工具を使って付けることも出来ますが,大量に作業することを考えるとやはり,プライマーにあわせて薬莢も選ぶことになるかと思います. 現時点では私は WAA を使っています.現在市販されている WAA は昔の Compression ではなくて,ベースワッドが別体になっている polyformed なのですが,レシピが同じに出来るように設計されているということになっています.しかしワッドが Compression の時より高くなって,火薬に Longshot を使うと遊びが出てきます.今まで試用した限りは問題は起きていませんが,従来の散弾リロードの常識ではガスシールは火薬にある程度の圧力で接している必要があるので,若干の不安はあります.というわけで,不安のかけらもないベストなレシピというのは,私もまだ見つかっていないのでした.