Podcast で Taylor KO Factor という狩猟におけるストッピングパワーを評価する指標が出てました.
wiki だと
ここにあります.以降 TKOF と表記します.
この TKOF は 弾頭重量(lb) × 弾速(
fps) × 弾頭の直径(inch) で表せます.例えば 7.62mm × 51mm
NATO の場合は,150 gr, 2820
fps, 0.30" で 18.1 となります.
そして各種カートリッジにおける TKOF の例は以下の表の通りです.
TKOF | Cartridge | Bullet Weight [gr] | Velocity [fps] |
---|
1.33 | .22 LR | 30 | 1400 |
8.70 | .243 Winchester | 85 | 2950 |
14.9 | .30-30 Winchester | 150 | 2250 |
19.6 | .308 Winchester | 168 | 2650 |
20.8 | .30-06 Springfield | 170 | 2850 |
24.9 | .300 Winchester Magnum | 180 | 3146 |
35.5 | .338 Lapua Magnum | 250 | 2940 |
41.0 | .375 H&H | 300 | 2550 |
もちろん他にもこの手の評価指数はいくつかあって,例えばよく使われるのは,単に仕事量で評価する方法ですね.鹿などを獲るには 1000 ft-lbf くらいは欲しいとかいうあれです.このときは弾頭の大きさ自体は評価に入っていません.しかし TKOF では同じ弾頭重量,弾速でも弾頭の直径が大きい方が衝撃が大きいという評価をしています.ただ TKOF でも弾頭形状(HPとかSPとか)については評価に入っていないので注意が必要です.
ちなみにスラグではこの計算でどのくらいになるかというと,12Ga, 1 oz, 1500
fps でなんと TKOF 66 です.もちろんマズル直近での話ですが,パンチ力は超大口径ライフルよりあるという評価ですね.うーん,どうなんだろ.
散弾も考えてみましょうか.例えば私の鴨弾の場合は4号(0.13"φ, 3.3gr)で 1300
fps とすれば TKOF 0.08 です.まあ数発は当たりますから弾数に比例するとすれば,0.2 くらいは与えてるってことですかね.もちろん弾速が落ちるのは計算に入れてないですけど.
鳩弾は7半を使っているので 0.095"φ,1.29gr です.同じ弾速でも4号に比べて TKOF は 1/3.5 になってしまいます.矢に弱いので TKOF 0.1 もいらないって感じでしょうか.
というわけで,評価法の一例として Taylor KO Factor を考えてみましたが,極端な例だと実際を反映できない可能性があり,適用できる範囲は検討する必要があります.個人的な見解ですが,終末弾道を考える限り,弾速は指数関数的に影響を与えるだろうと考えています.とはいえ,このような評価があるというのは,弾の直径も実猟には効いてくるはずだという経験則を反映させた先人の知恵の結果だと思うので,他にもいろいろな評価法を調べてみたいと思います.