一般論としては火薬自体の温度を高くしておくと,燃速が上がるといわれています.狩猟の場合は暖かい時期に練習しても,猟期は寒いのが普通ですから,猟場では弾速が上がず,着弾点が下がるなんてことにもなりかねません.そのため,IMR の新しい火薬 Enduron シリーズでは,温度による変化が小さいなどとうたわれているわけです.
実際にどのくらい違うのだろう?と思いまして,今回は従前通りの火薬である Hodgdon H4895 と,温度による差が少ないと広告されている IMR 4166 で実験してみました.そのまま置いておいた弾は約 9℃ で,カイロで2時間ほど暖めた弾は約 31℃という条件です.30-06, 150gr SBT, 薬量はいずれも 50gr で,弾速は5発の平均です.その結果,弾速はそれぞれ以下のようになりました.
まず H4895 では温度が高い方が弾速が上がっていますが,わずか 8
fps ですから,それほど大きな差があるわけではありませんでした.しかし皮肉なことに温度変化が小さいとうたわれている 4166 の方が弾速が 76
fps も差があり,明らかに違いました.
本当は逆に冷やしたりするなどして,実験条件をもっと細かく変えていかないと定かなことはいえないのですが,少なくとも今回の実験からいえることは以下の2点です.
(1)火薬の温度が高いほど弾速が上がる傾向にある.
(2)温度変化が小さいとうたわれている火薬の方がかえって温度に対し弾速が大きく異なった
次回はもう少し温度を変えられるようにしたいと思いました.