週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

火薬のはなし

今回の図書館シリーズはこちら.

kayakunohanashi.jpg

「火薬のはなし」です.ブルーバックスなので一般人の理解を深める内容となっており,平易で分かりやすいと思います.以前より弾薬学に関連した書籍を図書館で借りていますが,あまり数はないです.そのうちの貴重な一冊です.

産業的に火薬と言えば推進薬よりも爆薬がメジャーだからか,この本でも射撃に使う無煙火薬の話はほとんど出てきませんが,花火に関係して黒色火薬は出てきます.

ネット情報では黒色火薬も爆轟するという記述を見かけます.しかし素人が引用もせずに書いていて,定量的な話もないし,果たして本当なのか?と思っていました.この本は火薬の専門家が書いているので,内容は素人向けとは言っても信用できますからね.で,この本によると,「黒色火薬は爆轟しない」ということです.

昔,開放状態で無煙火薬黒色火薬を燃焼させている動画を見たことがあります.その中では黒色火薬はとても燃焼が速いです.確かに昔学校で理科の実験をしたときも一瞬で燃えた記憶があります.しかし銃砲店では黒色火薬だと弾速が出ないと聞きました.火縄銃などのバレルがとても長いのは弾を加速するのに必要だというわけです.このとき私は黒色火薬の燃焼は速いと思っていたので,弾速が出せないのは燃焼によって発生するガスが少ないからだと思っていました.実際は火薬の燃焼特性はその燃焼環境(圧力など)で全く違うものになりますし,そんな単純な話じゃなかったです.

読んでふむふむと思ったいくつかのポイントをあげますと

(1)無煙火薬はガスの発生が遅い

 打ち上げ花火に使えないのはこのためだそうです.多分打ち上げ筒での燃焼だと銃に比べて腔圧が低くて,その状態だと黒色火薬の方が燃速が大きいのだと思います.未だに打ち上げ用途で黒色火薬を超える特性を持つ火薬はないそうです.

(2)混合火薬の方が反応速度自体は遅い

 ミクロな視点では,混合物である黒色火薬では酸化剤と可燃剤の間の距離が大きい.分子内に酸化剤と可燃剤が同居する火薬のほうが反応は早い.まあ一般論ではそうなんだろうなとは思いますけども,実使用環境下ではいろいろありますからね.

他にもいくつかあったけど,なんだったかな.ともあれ,弾薬の場合と固形ロケット推進や打ち上げ花火の場合だと,同じ火薬でも燃焼状況が違うので,この本の内容は直接弾薬学に関係していたとは言えませんが,一般知識としては割と面白かったです.特に尿路結石を爆破する話とかは驚きでした.笑