週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

【射撃のすゝめ 】銃を考える(1)

T氏の射撃を始めるシリーズが終わったところで,実際に興味を持たれた方のために必要な用品などの紹介をしてみる「考えるシリーズ」を始めようと思います.その第1回は銃を考える,です. 射撃は基本的に自分の銃でやらなければなりません.他人に借りることは出来ないのです.実は射撃場に貸し出し専用銃がある場所もあるのですが,これは既に散弾銃の所持許可を持っている人と教習射撃の場合にしか借りられないのでここでは考えません. 前にも書きましたが,射撃は最初以下の4パターンのどれか(あるいは複数)で始めることになります.
(1)散弾銃による射撃(クレー射撃・スラグによる静止標的) (2)散弾銃による狩猟(鳥猟・大物猟) (3)空気銃による射撃(10m静止標的) (4)空気銃による狩猟(鳥猟)
パターン別に適した銃を考えてみましょう. (1)散弾銃による射撃 これからオリンピックですし,今ちょっとクレー射撃は熱くなってるんじゃないでしょうか.笑 というわけで,クレー射撃を始めるなら,このタイプしかありません.
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上下二連銃です.新品での価格はかなり高価です.数十万円から上は何百万円のものまであります.値段の差は装飾やストックに使われている木の模様などで決まっていて,射撃の精度には全くといって良いほど差はありません.なので,特にそういうところにこだわりがなければ,安い物の方がよいと思います.あとこのタイプは中古でもきれいなものが多いので,個人的には程度の良い中古をお勧めします.価格は新品の1/4~1/2くらいでしょうか.10万円も出せばしっかりしたものが買えるでしょう.散弾銃の寿命は数十万発といわれているので,手入れさえ怠らなければ,それこそ一生物です. ちなみにクレー射撃は大きく分けてトラップとスキートという種目があります.
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これはトラップ射場の模式図です.左のクレー放出機からクレーが車種から離れる方向,すなわち左の方に放出されます.射手から見てまっすぐ向こう,左向こう,右向こうの三種類からどれかがでます.射手が立つ場所(射台)は5つあり,順番にその射台をめぐってそれを5回繰り返し25枚撃つのが1ラウンドです.なお射台にはマイクがあって,射撃準備が出来て,声を出す(コール)とクレーが放出されます. スキートはこんな感じです.
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射台が半円状に配置されていて,クレーは左右のタワーから決まったコースで放出されます.自分の位置が変わっていきますから,相対的に異なった角度で撃つことになります.トラップは一回に競技に参加できる(射団といいます)のは最大6人で,各射台(+一つ撃たない人の枠がある)に一人づつ立ちますが,スキートの場合は,射団ごと射台を移動します.要するに撃たない人は,射台の後ろの方の安全なところに行列を作って待ちます. さて種目の違いが銃にどんな影響があるかですが,それはクレーまでの距離なのです.トラップは15m先の放出機から向こう側に飛んでいきますので,撃つ距離は30m~40mくらいにはなるでしょう.しかしスキートの場合は20mくらいなのです.散弾の弾の開き方がその距離で最適になるような銃身長と絞り(銃身の銃口に近い方がどれだけ狭いか)を選びます.弾は広がった方が当たりやすいですが,広がりすぎると密度が低く,すなわち弾と弾の間隔が広くなりますので,クレーに当たる粒の数が減ります.すると割れなくなるのです.従って十分割れる散弾密度を保持している距離が有効射程となるわけです.そんなわけでクレー射撃の場合はトラップ銃とスキート銃の二種類があります.外見上の違いはトラップの銃身が30インチ(76センチ),スキートは28インチというのが多いようです.見えないところでは絞りが違いますね.あとはストックの形状が若干違います.トラップは構えた状態でコールするのに対し,スキートはコールしてクレーが出てから構えるので,トラップの方がスキートよりストックの頬に当たる高さが高くなっています. トラップもスキートもどちらも面白いですが,トラップ人口の方が多いように思います.なので,射撃場もスキートよりトラップの方が射台が若干多いと思います. なおスラグ射撃は上下二連銃は普通使いません.こういう銃を使う場合が多いです.
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ぱっと見たところはライフルに似ていますが,銃身内側にはライフル(溝)が切られていないか,切られていても銃身の半分までということになっていまして,許可上は散弾銃となります. スラグ射撃はライフル射撃場で行います.的紙までの距離は 50m 程度が多いですが,精度の高いスラグ銃もあって,ライフル並みに100mを超える射撃を楽しんでいる人もいます.ライフルもそうなのですが,誰かと一緒に楽しむと言うより,一人黙々と自分の課題に取り組むという感じです.なので,クレーに比べると誰かとわいわい楽しむ要素は少ないです.スラグをやる人は,スラグだけというよりは,クレーもやるけどスラグもやる,みたいな人が多いような気がします.(自分の周りの話ですが)