週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

max load の推定....はできなかった

あるカートリッジ,ある条件下で最大出力を取り出そうとするとき,最適な burn rate(すなわち薬種)は何かといったことは火薬の選定には大事なことなので知りたい事柄の一つですね.

しかし一筋縄ではいきません.例えば Hodgdon のレシピを見てみます.30-06 で 150 gr. Nosler BT の場合で IMR 3031 を使う場合は以下のようなデータになっています.

Starting Load

43.0gr / 2697fps / 47500PSI

Maximum Load

46.7gr / 2887fps / 59300PSI

SAAMI によれば,30-06 の maximum average pressure は 60000PSI となっていますので,上記のレシピではまだ少し余裕があります.薬種間で比較するならこの圧力を(例えば)60000PSI に固定して,必要な薬量で比較することが妥当ですが,レシピにはそのような形式では出ていません.

そこで何らかの方法でこれを換算できないかと考えていました.そんなとき,例の Handloader 誌の創刊号にこんな記載をみつけました.

腔圧はエネルギーに比例する

エネルギーは薬量に比例する

ということは腔圧と薬量は比例すると言うことになりますね.記事ではこの仮定を元に薬量を推定し,実際に試射をしてもそれとほぼ同じ結果になると書いてあります.うーん,そんなに簡単にいくのでしょうか?では試算してみましょう.

まず先ほどの Start Load の条件でエネルギーを計算すると 3288 J です.これで 47500 PSI ですが,同じ条件で 59300 PSI にするのに必要なエネルギーは 4105 J となりますから,薬量はこれに比例するとすれば 53.7 gr と計算できます.ところがレシピの Maximum Load では 46.7 gr でこの圧力に達していますから,もし 53.7 gr を入れてしまうと,軽く圧力限界を超えてしまう結果になります.

結局,腔圧と薬量が比例するという仮定は成立しないと考えるのが妥当だと考えています.仮に実際にやったとしても問題ないと言えるような安全な仮定ではないので,もちろん挑戦はいたしません.苦笑