週末猟師

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【勝手にFAQ】薬莢がダイに噛り付く話

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リローディングダイ焼き付け
塗装の話ではないですよね?多分「焼付き」のことだと思いますので,そちらでお話しします.サイジングするときは必ず薬莢にルーブを塗らないといけないのですが,これを怠ったり,塗っても不完全だと,ダイと薬莢が強く押し付けられ,噛り付いてしまうことがあります. ルーブしないでサイジングするときには,金属同士を摩擦圧接するような状況になります.これは摩擦により表面のコンタミネーションがなくなり(酸化膜などが剥がれる),金属の原子同士が接合してしまい,母材の強さとほぼ同等の引っ張り強さをもつほどになる現象です.(逆にこの現象を接着に使う加工方法もある) この現象は圧接時の金属の表面温度に関係しますので,摩擦熱が大きくならないように,ゆっくりと作業することがカジリ防止になります.といっても,そんなにゆっくり作業しては日が暮れてしまうので(もともと夜やってるというツッコミはおいといて),きちっとルーブすることが大事なわけです. ところでダイは錆びないようにステンレスでできていたりしますね.ステンレスは焼きつきやすいことが知られています.この理由は実は現在のところ正確にはわかっていません.クロムの含有率が高いほど焼きつきやすい傾向があると言われていますが,あまり含有率を低くすると耐食性が確保できなくなるので,多分この間のバランスで決めているのではないかと想像しています. さて焼付きの現象自体を知りたいという話なら,これで私の知っていることはおしまいですが,焼き付いちゃったけど,どうしよう?ということかもしれないので続けます. このような状況は case(薬莢)が stuck(にっちもさっちもいかなくなる)するといいます.ですので,stuck case remover というものを使います.大体はこんなセットになっています.
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同じようなものを持っている場合は,別にこのセットを買わなくても大丈夫です.ちなみに使い方は以下のとおりです.
(1)ダイのデキャッピングスピンドル(ネジ)を回して,できるだけ上の方までもっていきます.抜くことができれば最良ですが,サイジングボタンが引っかかるので限界はあります. (2)ダイをプレスから外します. (3)上下を逆さまに固定します.万力などがよいですが,プレスの下からダイをセットする方法もあります. (4)プライマーポケットの中心にタップの下穴を開け,タップを立てます. (5)レンチソケットのような形をした(実際のソケットでもサイズが合えば作業できます)道具を薬莢にかぶせ,ボルトを通します. (6)ボルトを薬莢のタップした穴にねじ込んでいくと薬莢が抜けます.
ちなみに何回も使った薬莢だとボディ下部が薄くなることがあるので,そこから切れる可能性もあります.こうなるとお手上げです.メーカーに修理に出すしかないと思いますが,上で書いたように金属同士が噛り付いた場合はその表面にダメージが残るので,新しいダイを買ったほうが早いと思います. と,まあいろいろ書いたものの,実のところ私はスタックさせた経験がないので,実際には作業したことはありません.笑