週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

bushing die がまだな理由

前々から書こうと思っていたのですが,ぽりぽりさんのところで話題になっていたので書いてみます.笑 さて本題.お道具自体が大好き(というか,すでに手段が目的になってる?)なので,bushing die も使ってみたいのは山々なのですが,そんな私がなぜこれをもってないのかというお話です.なおこれは将来にわたって使うつもりがない,というわけではなくて,いつか使ってみたいけど,今のところは自分には猫に小判の度合いが大きすぎるということです.笑 さて,full にしても neck にしても,bushing タイプと普通のタイプがあります.まず普通のタイプは断面がこんな感じです.
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薬莢を挿入していくと,最初に①の部分でネックが外側から押されて径が小さくなりますが,抜くとき今度は真ん中のサイジングボタン②がネックの内径を拡大して,弾頭を保持するのにちょうどよいネック径(=弾頭径よりわずかに小さい)にします.要するにボタン径でサイズが決まるわけです.最初にサイジングされるダイ①の方は当然ボタン+ネック厚みよりは小さい径になっています.じゃないとボタンでサイズできないですからね. 一方 bushing die の場合は断面がこうなっています.
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普通の bushing die はデキャッピングロッドにボタンがついていません.ですから内側からのネックの拡大は行われません.すなわちサイジングはネック部分にあるブッシング③で外側からのみ行います.
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このブッシングは 0.001" 刻みで用意されており,例えば普通のカートリッジだと入らないようなタイトネックチャンバーの高精度銃などに対応するサイズも選べます. ボタンのサイズは口径で決まっているので,普通のダイだとネックはボタンで決まるサイズにしかできないわけですが(本来はスプリングバックによる偏差も加味すべきですが,ここでは均一だと仮定),ブッシングダイは自分の好きなサイズを選べるというところがポイントです.通常は弾頭を装着したネックの直径(=弾頭径+ネックの厚み × 2)から 0.002~0.003" 引いた(この分が弾頭保持力になる)値のブッシュを使います.この値を微妙に変化させることでテンションを制御できるわけです. ところがこれには落とし穴もあります.外径を一定にしても,ネックの厚みが均一でないと内径が一定にならないので,弾頭保持力も変わってしまうのです.よってネックの厚みを一定にするためにネックターニングという作業が必要になるのです.
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さらにもう一つ.ターニングすると均一に削れるわけではないことに気づくと思います.実はネックの厚みは場所によっても異なるので削られ具合が均一ではないのです.ということはターニングしない場合,薬莢の中心とネックは同心円になっているわけではない(偏心している)ということになります.となれば,弾頭を装着しても,それはネックの中心軸とずれているということになりよろしくありません.それなら普通のダイでロッドを剛体と仮定すれば,ボタンを中心に通した方が薬莢の中心軸と弾頭のそれが合致するので,そのほうがよさそうです(例えネックの厚みが均一でなくても軸には関係ないから).極端ですが図示するとこんな感じになります.
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ターニングせず偏心したネックの薬莢を考えます.左はブッシングダイを使った場合で黒線がネックの中心(=ネック外周の中心),赤線が弾頭の中心です.右は同じ薬莢で普通のダイを使った場合ですが,黒線がネックの中心(=ネック内周の中心),赤線は同じく弾頭です.非常に極端に描きましたので,実際にはこんなひどいことにはなりませんが,理論上はこうなるという説明図です. 私は普通のダイを持っているので先の話になりますが,今後ブッシングダイを精度を求めて買い足すなら,ターニングすると思います.でもこのターニングという作業が面倒なので,普通のダイでいいや,という段階におります.というか,そもそも違いを出せるだけの腕がありません.もし腕が上がったり,ターニングもやってみたいと思うようになったらブッシングダイを使ってみたいと思います.逆にブッシングダイしか持ってなかったらそのまま使って,精度を追い求めるようになったらターニングするという感じかなと. ちなみに Redding のラインナップを見るとボタンのついたブッシングダイがあります.作業的にはダイでネックを縮小,ボタンで拡大するわけですが,この径の差が大きいと薬莢に負担がかかるので,この差を小さくすることで薬莢を長持ちさせようという意味かな?と思ったのですが,どうなんでしょうね?あるいはその差を小さくすることでスプリングバック量の個体差が小さくなるのか?まあ実際の狙いはまだ分かりません.いずれにしてもこの道はどこまでも奥深く続いていくものですね.
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