今週のお題「マイルーティン」の第三弾です.ちなみに第二弾はこちら↓
前回薬莢のクリーニングとキャリバ毎の分類をしました.使用可能状態にすることを case prep と言い,完了するまでにはあとサイジングが必要です.使用するのはサイジングダイ.
薬莢をプレスを使ってこのダイに圧入することで規定のサイズに縮小します.縮小しないと弾頭が保持できなかったり,そもそも銃に装填できなかったりします.圧入時に薬莢とダイ内面の金属面が直接接触していると,焼き付きを起こしてしまいますので,ルーブという極圧剤を薬莢に塗布します.
見た目はメンソレータムのような感じ.丁寧な人なら一つづつ塗るところでしょうが,私は面倒なので...
トレーに並べて...
ルーブを指につけてベロベロっと塗ります.笑
これで塗れました.あまり厚塗りしすぎると,ルーブの逃げがなくてダイがへこんでしまうので注意です.まあへこんでも問題ないですけどね.笑
うっすらとこのくらい付いていれば十分.これをプレスにセットしてサイジングダイに圧入.戻すとサイジングが出来ているという仕組み.
サイジングが終わったら拭き取ります.数が多くて面倒だったり,時間がたっぷりあるならば,再度タンブラーにかけるという方法もありますが.
サイジングがちゃんとできたかはミニマムチャンバーゲージで確認できます.サイジング前がこんな感じ.
全然入ってないですよね.これをサイジングするとこんな感じになります.
ゲージが SAAMI のミニマムだから落とし込むだけでは,完全には入りません.でもおしりを軽く押してあげると
ぴったり納まります.これなら問題ありません.ちなみに普通のケースゲージだと,底部とネックの間,そしてネックとマウスの間の長さしか測れず,太さ方向のサイジングが適切かは分からないことがあるので,注意が必要です.サイジング前でもこんな感じに納まってしまったりしますからね.
薬莢の上方開口部は弾頭を保持する部分なので,ネックテンションゲージという道具で太さを見ます.
ここまで入ってしまうのは内径が大きすぎです.サイジングしたのにこうなっている理由は,使用しているサイジングダイがブッシングダイといって,外径を縮小するもので,メーカーなどによってネックの厚みが異なるので,選択が不適切だとこのような不具合が起きてしまいます.最初にセットしていたブッシュは Lapua の薬莢に適したもので,Fiocchi は同じで大丈夫でしたが,Norma には大きいようです.すなわちネックの厚みが Norma の方が薄いわけですね.そこでダイの中のブッシュを小さいものに入れ替えます.
2サイズほど下げたらなんとかここまでになりました.
この状態でも保持は出来ますが,テンションは低めなので,狩猟用には向かないかも知れません.
ともあれ,メーカー毎にブッシュを変えてなんとか作業を完了しました.
ブッシングダイじゃなくて,普通のサイジングダイだったら,サイジングボタンによって内径側を所定のサイズにするため,薬莢メーカーによらず均一なサイズに出来ます.なんでそれを使わないかというと,ボタンを通すときに力が要るからという軟派な理由なのでした.笑
作業が終わったらケースにしまって,case prep 終了です.
料理で言うところの下ごしらえみたいなものですね.これで次に使うときに,すぐに雷管取付からスタートできます.