前エントリでサイジングはネックサイズにする方針に決まりました.
ネックサイズとは薬莢のボディ部分はいじらず,弾頭を保持するネック部分のみ,把持力を持つよう圧縮する処理です.再利用に際して問題がないかを軽くチェックした薬莢をネックサイズしていきましょう.
ここで使用するダイはネックサイジングブッシングダイです.
プレスにとりつけます.
高さなどは調整済みです.ネックダイなので,ネック部分だけダイに押し込むことになります.ネックというのは薬莢のこの部分.
なので先っぽだけちょっと lube (焼き付き防止の潤滑剤)をつけます.
最初はダイに lube が回ってないので,多少多めに付けますけども,それでもこれだけ付ければ十分.
go! よっこらせとプレスを操作.こんな感じになります.
といっても,やったことがある人じゃないと見てもよく分かりませんよね.赤矢印のところまで擦過痕がありますので,そこまではダイ(のブッシュ)で圧縮されています.中のブッシュだけとりだしてネックにはめてみるとこんな感じ.
これでこのブッシュに応じた径になるわけですね.ちなみにブッシュが金色っぽいのは,ブッシュ表面を硬化させるために窒化チタン処理しているからです.普通の熱処理鉄ブッシュに比べると高価ですが,滑りが良いのでうちでは多用しています.
通し終わった薬莢はゲージにかけて適切な内径になっているか確認します.
上のはいい感じです.が,たまに同じ Lapua でも過去の使用履歴が違ったりするとこんな風になるものがあります.
これだと緩すぎて弾頭を保持できませんから,ブッシュを交換して再作業しないといけません.まあこんなのは紛れこんだ薬莢だけなので数は少ないはずですから,脇によけておいて,他の薬莢の処理を続けます.
なおブッシングダイではネックの外径を決めているのに対し,普通のダイの場合はその中に或ボタンという部品(ブッシングダイにはついていない)でネック内径を一意に規定するため,上のようにブッシュの交換作業はありません.完全無調整となります.
さて終わったら,緩くてはじいておいた薬莢の処理に入ります.ブッシュを少し小さいものに交換して試します.といっても,手持ちブッシュはこれ↓だけなので,もし適合サイズがなければ,普通のサイジングダイで処理をすることになります.ちなみにこの箱は価値の分かる人にとっては,ブッシュの宝箱やぁ,って感じではないかと.笑
なおあの緩い薬莢に対しては2サイズ下げたらOKでした.
そうそう,弱装で雷管が出っ張っちゃったのがありましたよね.
これのことなんですけど
こんなに出っ張っちゃうとシェルホルダにはまらないんですよ.
ここで引っかかってしまうのです.こういうときはどうするかというと,プライミングツールにかけます.
活雷管より力を入れてグイグイやって押し込みます.
完全な面一にはならないけども,一応これではまりました.
サイジングした薬莢はミニマムチャンバーゲージで確認します.
Lapua はこれで大丈夫でしたけども,他社製の薬莢はネックだけだと無理でした.次回はフルレングス編です.↓