週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

PIDコントローラの製作

製作といっても,実際手がかかるのはケース加工くらいで,あとはねじ止めして結線するだけですが....とりあえずできました.前パネル.
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右のスイッチは入出力の間に入れると大電流が通過するため,コントローラだけにつながっています.コントローラがオフになれば,SSR も切れるので入出力の間に入れる必要はないわけです. 後パネル.
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左が入力,右が出力です.どちらも GND 付きでシャーシに落ちてます.真ん中の上は熱電対用の端子台. PID ってよく聞くけど,サーモスタットとどう違うの?っていう方もいらっしゃると思うので,簡単に説明しましょう.まずはそれぞれでヒータを制御した場合の被加熱物の温度変化の概念図を示します.
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サーモスタットは設定した温度を超えるとヒータの電源が切れます.温度が下がり始め,設定温度を下回るとヒーターが入ります.このグラフで目標温度を上回った部分をオーバーシュート,波打っているように見える部分をハンチングといい,熱容量が大きなものだと温度変化が遅いので,これらが小さくなりますが,そうでないものだといずれも大きくなってしまいます. 対して PID 制御とは温度の変化量を観測して,オーバーシュートやハンチングが小さくなるような制御を行います.理想的な温度変化は上図の(2)のようになります.実際はここまできれいではありませんが,オーバーシュートやハンチングは単純な制御に比べると小さく押さえられます.詳細については割愛しますが,本一冊書けるくらいの内容です.このコントローラは ON/OFF しか制御していないのですが,出力をリニアに変化させたりと,世の中にはいろんなことにこの PID 制御が使われています. さてちゃんと動くか確認してみましょう.ヒータの前に熱電対を置いて電源を入れます.
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上の赤い数字が熱電対の温度,下の緑の数字は設定温度です.設定が50度なのに対し,現在17度ですからオンになっています.左上の緑LEDでオンになっていることがわかります.ヒーターのすぐ前に熱電対を置いているので,急激に温度が上がってきました.すると35度でいったん出力が切れました.
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これはサーモスタットのような制御ではできない動きですね.要するにこの調子で上がっていくと50度を軽く超えてしまうと予測できるので切ったわけです.この後,オンになるタイミングを微妙に調整しつつ最終的には....
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と,このように目標温度をキープするようにオンオフ制御をうまくやってくれます.もちろんハンチングは若干ありますけど.便利ですね.ちなみに真に理想的な動作をさせたい場合にはプログラムの設定で PID パラメータを最適化する必要があります.とりあえず使ってみてから考えますが,特に鋳造の場合は炉にある金属の量が常に変化するので,最適化は複雑になり,結局のところはいじらないでこのまま使うことになりそうです.笑