狩猟でアマチュア無線を使う人は多いですが,ほとんどの人は3アマか4アマの従事者免許をとると思います.その後,開局申請をしてコールサインをもらうことになるでしょう.そのとき手続きにかかる費用を考えると(国家試験受験の場合),
- 受験料(用紙,送料込):3級5382円,4級5132円
- 免許申請(用紙,取次込):2270円
ですから,従事者免許を取るのに8千円くらいかかるわけです.問題集を買えば1万近くかな?
次いで開局するのに新しい無線機(現在のスプリアス基準に合致した技適機種)を使用する場合,手続きは通信局に直接行えるので簡単です.この場合,書面での申請なら4300円,電子申請なら2900円かかります.
さて表題の「安く」というのは,前者の従事者免許を安く済ませる方法についてです.
実はアメリカなど海外の免許も日本で有効なのです.どちらにしても開局申請は必要なのですが,従事者免許は日本のでなくてもよいわけです.アメリカの資格は以下の3つのクラスになっていまして,それぞれ日本で同等と見なされている級があります.
- Amateur Extra → 1アマ
- General → 2アマ
- Technician → 4アマ
またドイツやカナダ,オーストラリアなどの免許も互換性があります.
でも安いからといって,アメリカに行ってとってくるというのではチケット代がかかるわけですから本末転倒ですよね.ところがアメリカの免許は日本でもとれるのですよ.こちらを見てください.アメリカの免許は総合通信局に相当する FCC が認可したボランティアチームが行う試験に合格すれば取得でき,そのチームが日本にもあるのです.
たとえば関東ですと,群馬,茨城,東京,横浜,横須賀逗子などに試験チームがあります.で,この受験料がなんとたったの $15 (もしくは相当の日本円)なのです.日本だと合格した後免許の申請をしなければなりませんが,アメリカの場合は別料金がなく,試験合格=コールサイン発給になります.要するに日本だと
①受験 ②合格後従免申請 ③従免到着後開局申請 ④局免発給
というステップなのに対し,アメリカの場合
①受験 ②合格後局免発給
と,途中がないのです.ですから,トータル $15.激安ですよね.ただアメリカのコールサインでは日本国内での運用はできません.具体的にはアメリカの免許が下りたら,その免許のコピーを添付して,日本の開局申請書の従事者免許番号欄にアメリカのコールサインを書いて,日本のコールサインを得るという段取りになります.
アメリカの試験は Question Pool という無料でダウンロード可能な試験問題集から必ず出題されます.もちろん問題文は英語ですが,全く同じ文章ですから覚えてしまえばいいのです.まあ英語に拒否反応が出る人には無理かもしれませんが....あと一つ難点があって,それはアメリカに手紙を受け取れる住所が必要だということです.これは友人や親戚がいれば,頼んでその住所を使わせてもらうことでクリアできます.もちろん有料の私書箱サービスでも大丈夫です.
というわけで,誰にでもお勧めできるわけではないのですが,アメリカに友人や親戚がいて,自分自身も英語にそれほど苦手意識がないという人だったら,こういう方法で安く済ませられる,というお話でした.私は結構前に従事者免許をとっているので今更関係ないのですが,友人がアメリカ免許を元に日本のコールサインをとったという話をしていたので思い出した次第.
ちなみに英語は見たくもないという人はあきらめて日本の免許をとるしかないですが,国家試験を受けるときに3級か4級で悩んでいる人へのアドバイスです.3アマは以前はモールス受信の試験がありました.このときは確かにハードルは高かったかもしれません.しかし今は法規の中で紙面上で問われるだけなので,4アマとの違いはそこしかない,要するにレベル差はほとんどないのです.銃猟の1種と2種の違いより小さいです.だったら3アマをとったほうがいいですよね.3アマがあれば 50W まで扱えますから,移動局の最大電力まで合法的に使えます.ところが4アマだとそれが 20W までになります.今時の無線機の値段は 20W でも 50W でも普通は同じで,無線機屋さんでも 20W はあまり売れないために,在庫があまりないなんてことがありますし,リセールバリューも落ちます.それに新品で買うときも同じ値段なら 50W を買っちゃおうなんて思ったりする人がいるかも知れませんが,4アマだとそれは電波法違反になります.電波検問で摘発された場合,道交法とは比較にならないくらいヤバいことになります.我々はコンプライアンスには気を遣うべき立場にいますから,そんなつまらないことで足下をすくわれないようにするためにも,とるのは3アマにしておいたほうがいいと思います.
で,私の個人的なお勧めのテキストはこちら.
初級とありますが,これは3級と4級の意味です.どっちを受けるにしてもこの本でOK.
あとは試験以外にも養成講習会でとる方法もありますが,どちらを選ぶかはその人次第ですね.銃砲や狩猟の試験で苦労した苦い思い出のある人(丸暗記が苦手)だったら,講習会の方がいいかも知れませんが,問題集もそんなに分厚いわけではないので,国家試験の方が時間的にも経済的にも楽だと感じる人の方が多いのではないか?と思います(個人的見解です).なお養成講習会は4級の場合10時間の講習があります.二日に分けて行いますが,夜間だけの5日間コースというのもあります.23000円くらいです.3級の講習会は4級をとってから7時間受けます.13000円くらいです.