今週のお題「試験の思い出」ということですから,週末猟師的には狩猟を始めるまでのいくつかの試験について書こうと思います.狩猟には罠や網もありますが,ここでは散弾銃を使った銃猟のお話.
銃猟に始めるには「銃砲所持許可」と「狩猟免許」の両方が必要です.とる順番はどっちが先でも法的には問題ありませんけどもスムースなのは,所持許可をとってから狩猟免許をとる,です.
銃砲所持許可を得るにはまず「初心者講習」に参加する必要があります.ここで銃刀法などの講習を聞いて,最後に修了試験を受けます.これが最初の試験ですね.(実際は講習申込時にいろいろ聞かれて,のらりくらりとかわされることがあるらしいので,これも試練ではありますが,試験ではないのでカウントしません.)講習は退屈な感じはしますけど,興味がある分野で今まで知らなかったことをいろいろ聞くのは楽しいと感じました.最後の試験は,正直こんなのが出来ない人いるの?っていうくらい常識的な,あるいは基本的な問題だったのですけども,1,2割だったか落ちる人はいました.点数開示はなかったので,点数以外でのスクリーニングがかかっている可能性は否定できませんけども,世の中にはなんで?っていうくらい出来ない人がたまにいますからね.ただ近年は点数を開示しろとか KY なことを言うのがいるのか,べらぼうで無意味に難しい問題を出すようになってしまい,逆に受かる方が珍しい,くらいになった回もあると聞きます.水清ければ魚棲まず,といいます.所持希望者も察しろよ,と思ったり.(地方が東京に嫉妬という別説もあるがここでは割愛)
ついで「射撃教習」です.これは実際に射撃場に行き,銃砲を使って操作や射撃の練習をするもので,最後に実技試験があります.銃の操作(例えば射撃準備が出来ていないうちに引き金に指が掛ってはいけないとか,いかなる場合でも銃口を人に向いてはいけないとか)に問題がないかが主にチェックされます.クレーは25枚のうちトラップ射撃を選択した場合は2枚,スキートは3枚以上当てることという規定がありますけど,これをクリア出来ない人は多分いないでしょう.それよりも危険な扱いがないかのほうが重要な採点項目です.私はトラップで受講し,国内初発砲で使用した実包は Winchester AA,今使っている WAA/HS (赤弾)の前のモデル(黒弾)でしたね.リローダーとしては懐かしい弾です.最初の2発でノルマ達成したので,あとは扱いでヘマをやらかさないようにだけ注意してた覚えがあります.
以上二つの試験を経ることで銃砲所持許可申請が行えます.なお空気銃の場合は射撃教習はなく,初心者講習を修了するだけで所持許可申請が出来ます.申請後一ヶ月くらいで許可されるでしょう.射撃教習は申し込めばすぐに受けられるわけではなくて,受けても良いかの審査(資格認定)にも時間がかかるので,初心者講習申し込みからだとざっと3ヶ月程度はかかることになると思います.(地域差もあるでしょうが,最近初心者講習の受講希望者が多いらしく,受けるまでに結構時間がかかるとも聞いています.)
最後に「狩猟免許」です.散弾銃を使った狩猟に必要なのは「第一種銃猟免許」といい,空気銃は第二種ですが,第一種を持っていれば空気銃猟と両方できるし,試験難易度もほぼ変わらないことから,第二種をとる意味はないと思っています.試験内容は知識試験で各種法令,銃器の取扱い,鳥獣生態などが問われ,また技能試験では鳥獣判別(絵を見て狩猟鳥獣の名前,非狩猟鳥獣ならその旨を答える),銃器点検取扱実技,距離の目測などを行います.試験前週あたりに猟友会主催の狩猟免許講習会が行われますから,それを受講しておけばほぼ合格できるはずです.逆に講習を受けない場合は結構難しいかも知れません.講習会では先輩猟師の話を聞くことになりますけども,結構面白かったですよ.アレが美味しいとかいう話はまだ覚えています.ちなみにこの講習会や試験も希望者が多くて,希望日に受けられないこともあるらしい.
「狩猟免許」よりも「所持許可」のほうを先にした方がいいと書いたのは,まず狩猟免許を受ける際に必要な「診断書」が,所持許可を持っている場合は(所持許可を得るときには必ず診断書を出しているので)不要になること,そして銃器の扱い(分解結合や点検など)は既に銃砲を所持していれば迷いも少ないけども,実銃を触ったこともない人がいきなり操作するのは難しいことが理由です.講習会で練習できるとは言っても時間が限られますからね.とはいえ,思い立ったタイミング次第でどっちが先になるかが決まるわけですから,先に受けられる方を無理に先延ばしする必要はないと思います.人生の時間は有限です.
所持許可と狩猟免許を得たら,あとは出猟する県単位で狩猟税を納付,登録を行うことで実際に出猟できます.ただいきなり一人で行くのは無謀すぎるので,必ず経験者と一緒に行きましょう.狩猟免状をとった時点では本当に最低限の知識レベル,例えて言えば三歳児程度でしかありません.免許もとったし youtube も見た,で一人前になった気になっている人がたまにいます.一人で行ってすぐそれに気付けばよいものの,そうでなければ狭い猟場ではあっという間に何かやらかして消えていきます.先達の注意なども面倒くさがらずよく聞いて,地元の人への挨拶も欠かさず,猟が長く楽しめるようにしましょう.そういう意味ではスタートしてからが本当の試験とも言えますね.それも毎回受け続けることになるのです.
ちなみに手練れのマタギがおじいちゃんだとすると,私自身は幼稚園を出たくらい,これからピカピカの小学生になるくらいかなぁ.途中で退学にならないように小中高といきたいものです.(その前に元気がなくならないようにしなくちゃね)