週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

リロードとはなにか

このブログは狩猟や射撃も扱っていますが,実際はそこでに使う弾のリロードに関する話のほうが多いです.ご覧頂いている方々の多くは射撃や狩猟を実際にやっておられるみなさんだと思うのですけど,中にはそうでない方々もいらっしゃるでしょう.そこで本稿では,本ブログの主題ともいえる「リロード」(reload) とは一体何なのか?について説明したいと思います.

 

リロードとは一言で言えば,発砲した使用済みの薬莢に,再び火薬類と弾頭をのせて,また使えるようにすることを言います.実際のところ,弾にかかるコストの半分以上を薬莢が占めており,かつその薬莢は何回も使えるものなのです.

 

これはライフル弾の構造を示した模式図です.

 

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これを銃の薬室という部分に装填します.引き金を引くと,銃の中では撃針という針が,④雷管 を叩きます.雷管の中には少量の爆薬が仕込まれていて,これが衝撃により爆発して,その前にある ③発射薬 という火薬に着火します.発射薬は瞬時に燃焼して大量のガスを発生させ,①弾頭銃口方向へ強力に押し出します.このとき ②薬莢 は火薬の圧力で膨らみ,銃の薬室の内壁に張り付くことで,気密性が保たれ,銃の後ろ側にはガスが吹き出さないようになっています.

 

薬莢は多くの場合,真鍮(銅と亜鉛の合金)でできています.弾頭が発射されて圧力が下がると,薬莢は少し縮みます.これは真鍮の持つ便利な特性(スプリングバックといいます)で,これにより発砲後は簡単に排莢できる(薬室から空薬莢が取り出せる)仕組みになっているのです.これが戻りの悪い材質だと薬莢が抜けず,次弾が装填できなくなってしまいます.

 

薬莢上部の弾頭は接着されているわけではありません.弾頭がついている薬莢の開口部(下図①)は,弾頭直径よりわずかに内径が小さく,戻ろうとする力で弾頭を保持しています.ところが発砲後の内径はスプリングバックするといっても,完全に元の大きさに戻るわけではありません.ですから薬莢を再使用するにはこの部分を元の大きさに縮めてやらないと弾頭が保持できないのです.また薬莢本体(下図②)も使用する度に少しづつ膨れていきますから,膨れ具合が大きくなれば薬室に再装填できなくなります.よって薬莢本体も大きさを確認して,必要があれば小さく縮めます.この作業をサイジングといいます.

 

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よってまとめますと,リロードというのは

 

(1)使用後の薬莢から使用済み雷管を除去(ディキャップ)
(2)薬莢のサイジング
(3)新しい雷管を装着(プライミング
(4)火薬を規定量装填
(5)弾頭装着(シーティング)

 

という工程があります.これ以外に薬莢のクリーニングなどもありますが,必須というわけでもないので省きました.

 

もちろんこのようなことをしなくても,工場で作られた出来合の実包をそのまま使うこともできます.が,一発 500 円くらいしたりします.しかし自分でリロードすれば,買うのは弾頭,火薬,雷管で,一発百数十円程度に抑えられます.となれば,リロードする人がかなりいるのも当然ですよね.そのための道具も昔からいろいろあるわけですし.それに実は自分で作った方が精度の良いものが作れるのです.で,私は撃つより,作る方が楽しくなっちゃったというわけ.こういうのを弾職人といいます.笑

 

なお上の説明はライフル弾を例にとっていますが,散弾も同様にリロードできます.ただしクレー用の市販品は 40 円くらいなのに対し,作ると材料費が 120 円くらいかかるので,作るのは主に狩猟用(例えばマグナムは400円くらいするけど,作れば 1/3)です.ただ道具立てがライフルと異なることと,狩猟用の大粒散弾はクレー射撃に使用できず,消費が限られることから,ライフルのリロードほどはメジャーではありません.まあ私は弾職人だから作ってますけども.笑

 

そんなわけで,今回は「リロードとはなにか?」というお話でした.