週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

技能講習用減装弾のハンドロード

まもなく技能講習があります.散弾はクレー射撃なので市販の弾を使いますが,ライフルの方は全てハンドロードですので,ライフル弾の準備をします.今回のレシピは 30-06 減装弾で,

  • 火薬:H4895 25.0gr
  • 雷管:WLR
  • 弾頭:Sierra 150gr Spitzer
  • 薬莢:Lapua

です.減装弾に比べれば,火薬山盛りフルロードの方が集弾は良くなりますが,技能講習は0点でさえなければ(一発でも的に当たれば)点数は講習の合否に関係ないので,無駄に高い火薬を使う必要はなく,減装一択なのであります.笑

 

 

薬莢は case prep の済んだ状態でストックしてあるので,そこからだします.

【蛇足】case prep とは発砲済み空薬莢にクリーニングやサイジングといった作業を行うことをいい,case prep 済みというのは,火薬や弾頭の装填取付準備が出来ている状態です.

 

まず行うのは雷管の装着.うちにある取付工具はベンチツールとハンドツールです.ハンドツールの方が取付精度が高い反面,操作時に握力を使うので疲れます.数多く作るときはベンチツールを使うところですが,今回作るのは30個だけなのでハンドツールにします.まずは雷管を必要数トレーに載せてふりふりすると,刻まれた溝がアンビルの出っ張りに引っかかって上下の向きが揃います.最初使ったとき,これ作った人天才〜,って思いました.笑

 


雷管が載ったトレーをツールのグリップ部にはめ込んで雷管を送り込み,薬莢を載せてグリップすると雷管が薬莢に押し込まれます.

 


圧入感などに異状がないかを感じつつ,30個分の装着作業をします.

 


これで雷管取付は完了.

 

次は火薬の装填です.数多く作るときにはパウダーメジャーを使いますけど,今回は30個だけなのでオートディスペンサを使います.違いについては,前者は数多く作るときに素早くできてよいのですけど,体積で量り取る仕組みなので,どうしても個々の火薬量に誤差が出ます.ディスペンサは薬量は正確ですが,細いパイプが回転して火薬を送る仕組みなので計量時間がかかります.時間がかかるといっても30個なら高が知れているのでディスペンサを使います.もっと少なくて,それこそ数発くらいなら手秤りでもいいですけどね.笑 なお写真を見て違和感を感じた方がおられるかも知れないので触れておきますと,うちではディスペンサのホッパー(透明な筒)はつけていません.そこまで火薬量がいらないからです.

 


25.0gr に設定しているので,そこまで火薬を送ると自動的にとまって,ピーっと鳴ります.

 


ファンネル(じょうご)を薬莢に載せて投入.

 


入れたらファンネルを次の薬莢に移動させますが,うっかり移し忘れて二回入れてしまうとこんなになります.

 


これをダブルチャージといいます.実はライフルって適合した火薬で適切な薬量のフルロード弾を組むと,薬莢が火薬でいっぱいになる(空間があまり残らない)のが普通です.ということはこれでも撃って大丈夫なんですね.逆に言うと今回の 25.0gr というレシピが通常の半分くらいの火薬量なのです.最近火薬が手に入りにくいし高いもので,たかが紙相手に無駄な火薬を使ってもなぁというわけでケチケチ作戦でいくのでした.ちなみにダブルチャージしても火薬をホッパーに戻して再計量するので問題ありません.作業が終わったら確認です.

 

 

懐中電灯でのぞいてみて火薬が適量入っているかを確認します.

 


先ほど述べたとおり,ライフルの場合は火薬が多く入っていてもそんなに問題はないのですけど,逆に火薬が入っていない状態で弾頭を取り付けてしまうと問題になります.雷管の爆発力だけで弾頭が銃腔を進んで,途中で止まってしまうことがあるからです.そうなると取り出すのが一苦労です.そんなことになれば銃器故障扱いで講習中止になってしまうんじゃないかな?

 

ホッパーに残った火薬は容器に戻します.

 


この機種は横にシュータが付いていて,そこから出せます.

 

勢いよくでてくるので注意.さて最後は弾頭取付です.うちの 30-06 用の主力ダイセットはこちら.

 


Redding 製で Hornady LNL コンバージョンがついているので,ケースは Hornady です.下段左から seating(弾頭取付),neck sizing(薬莢のネックの部分だけ成型),full length sizing(薬莢全体を成型),右上の短いのは taper crimp(弾頭をクリンプして強固に固定)です.もちろん今回使うのはシーティングダイ.

 


前も 150gr を使ったと思うので,大体高さは合っているはずですが,一応確認します.

 


規定長は 3.23" なので,僅かに長いですね.このままでもいいのですけど,気持ち調整します.

 


3.2315" か.これでいいや.

ちなみに弾頭はこのくらいの深さで薬莢のネックにはまっています.

 


弾頭径は薬莢のネック径よりも僅かに大きいので,真鍮のバネ力(ネックテンション)で弾頭が保持されています.接着剤とかで止まっているわけじゃないです.笑 

シーティングしたらケースに収納する前に薬莢を振ってみて,火薬が入っているかは一応チェックしておきます.紙撃ちなのでクリンプはしません.

【蛇足】マガジンに弾を入れて射撃する場合は,前弾発射の衝撃で,マガジンに収納されている弾の弾頭がずれないようクリンプします.射撃場では基本的に一装填一発射がルールであり,マガジンに弾は込めないのでクリンプは要りません.

 


30個組み上がったら準備終了.

 

リローディングベンチ周りの片付けをして,弾は装弾ロッカーにケースごと仕舞って,リローディング作業完了です.