週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

ライフル弾の燃費を考える

以前 Max Load 時の出力を弾頭重量ごとに計算してみましたが,結果としては弾頭重量と出力の関係はモデル化出来そうな形では求まりませんでした.ただキャリバーによって出力がだいたい決まっていて,それも弾頭重量には依存しないようだという結論になりました. そこで本稿ではエネルギーを単位薬量あたりに換算,すなわちあるキャリバーの最も効率の良い弾頭重量というものがあればそれを求めてみようと考えました.電気回路でいうインピーダンス整合のような現象があるのではないかと考えたわけです. で,実際に計算してみた結果は以下のようになりました.
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これは単位薬量あたりの運動エネルギーを求めているので,縦軸は燃焼エネルギーがどれだけ運動エネルギーに変換されたか,簡単に言えば燃費を表しています.ごちゃごちゃしていて解りにくいですが,だいたい 70 J/grain を基準にしてみると 243Win, 270Win, 300WinMag, 338Lapua あたりはこれより効率が悪いことが解ります.30-06 と 300WSM はだいたい同じくらいで,308Winの効率がずば抜けています. あまり使わないのを出しても仕方ないので,グラフを見やすくするためにメジャーどころ4つに絞ってみます.243Win, 270Win, 30-06, 308Win です.(あ,legend 逆になってます.すみません.)
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当初の目論見ではどこかにピークが一つ見られると思ったのですが,残念ながら実際はそう簡単な形にはなりませんでした.無理矢理読み取るとすれば,効率のピークが,.308Win は 200gr,.30-06 は 125gr, か 175gr あたり,.270Win は 130gr, 243Win は 85gr にあるということです. ただここで元々計算のベースにしているデータは Hodgdon の Reloading Manual なので,メジャーどころは煮詰めているかも知れないけど,他はあまり注力してなさそうだとか,Max Load でも同じ腔圧になるまで薬量条件を揃えてないとか,burn rate も決して最適なものにはなってないようだとか,火薬は重さでエネルギーが決まると仮定している(実際はシングルベース,ダブルベースでも違うし,重さの中には燃焼エネルギーにならない添加物もあると思う)とか,いろんな問題は抱えています.ですから,そんなにきれいなグラフにはなりようはないとは思います. ただそんなデータでもあえて言えることは前述のピーク(らしきもの)と,.308 Win の効率の高さ,そしてそのネックダウンの .243Win は意外と悪いとか,他と比べたとき古いモデルでも .30-06 はまんざらでもないというようなところでしょうか.予想通りだったのはマグナムはやはり燃費は良くなかったということです.