射撃場での試射は必要ですが，そのベースとなるレシピの決め方についてご紹介したいと思います．まず決めるのはどんな弾にするかですね．これは目的から自ずと導かれます．例えばここではマグナム鴨弾，もしくはマグナム鳩弾とします．鳩弾については経済性に疑問は残りますが，まあここでは作ることにします． 見るのはこちら．hodgdonreloading.com のサイトです．
これの SHOTGUN をポチッとします．するとまず入力を求められるのが，GAUGE と SHELL です．
まあ 12GA なのはいいとして hull ですよね．自分で作るにしてもいくつか選択肢があるはずですが，ここでは順当に 2-3/4" WAA Compression Formed & HS を選んでおきます．
クレー装弾で販売されている Winchester AA の今のタイプは HS といいまして，一応伝説的リロードベースといわれる WAA と同じレシピが使えることになっています． 次の LOAD TYPE は飛ばしても SHOT WEIGHT を選ぶと必然的に決まるので放っても構いません．鴨鳩マグナムで 1-1/2oz(43g) が最大なのでこちらを選択．すると POWDER の選択肢が三つしか残りません．
IMR Blue は新製品ですねぇ．一度使ってみたいけど，まだお店にはないと思うので，ここは定番の Longshot にしましょう．で，下の GET DATA をポチッと．
すると，レシピがばーーんと出ます．
たくさん載っていますが，プライマはそれほど選べないですよね．うちの近所のお店だと Federal か Winchester があったような気がします．それとワッドも持ってるのは赤ワッズ(WAA12R)くらい．するとわずかにここまで絞れてしまいます．
赤丸●のがそうです．プライマに Federal を使う場合は 25gr，Win なら 26.4-28.0gr ということですね．SAAMI 基準によれば 12GA の 2-3/4" shell の最大平均腔圧は 11500PSI なので，Win の場合で 28.0gr が本当の最大というところです．Federal の場合もすでに最大近くなっているので，これはここ(25.0gr)までにしておくのが順当です．火薬は少し増やすだけでかなり圧力が大きくなるので注意しましょう． お店ではタイミングによって買える雷管が異なるのですが Winchester の方が入手できる確率が高いので，うちの鴨鳩マグナムはこちらのレシピで決定となります．
hull: WAA/HS
primer: W209
powder: Longshot 28.0gr(max)
wad: WAA12R
shot: 1-1/2oz lead
ちなみに国産装弾の薬莢を使う場合はどうなるでしょうか．あまり詳しく調べたわけではないのですが，現在市販されているものは多分 Cheddite あたりの薬莢とプライマがセットになっているもの（primed hull といいます）を輸入して，そこに国内で装填して製造しているものだと推測しています．なので，ここで STEP 2 の shell を選択し直してみましょう．1-1/2oz で使えるシェルが出てきます．
Cheddite がありますね．するとレシピはこんな感じでした．
最大を見ると 30.6gr で 1315fps も出ていますね．スゴいマグナムです．笑 ところが，プライマも Cheddite になっています．これをそのまま Win209 に置き換えてよいかを考えてみます． するといろいろなデータを見る限り，Cheddite のプライマは Win に比べて腔圧が低く出る傾向があるようです．もちろんどのパターンでもそうとは言い切れないのですが，それでも確率的には Win の方が高く出ます．ということは，Cheddite のレシピのままプライマだけを Win に替えると危険だと言うことです． ただ腔圧が低く出ているのがプライマの所為だけとは言えません．もう一つ大きな要素として薬莢のベースワッドの構造があります．一般にはコンプレッションフォームの方がポリフォームより火薬が少なくて済む利点があるのですが，これはすなわちポリフォームの方が同薬量なら腔圧が上がらないということを意味しています． ですから，これらの効果が相乗することで Ched の場合は 30.6gr などというほぼ1割増しな薬量となっていると考えられます．Longshot の pressure factor （薬量と腔圧の関係）からもう少しレシピを煮詰めることは出来ますが，W209 の 28.0gr はほぼ安全領域と推測できるので，これでいいのではないかと思います．
