週末猟師

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超弱装弾の研究⑤ 実射結果(腔圧推定)

日本ではマグナム散弾用に使われている推進薬 Longshot を,30-06 の弱装弾用として使用することを念頭に実射試験を行った結果,弾速とグルーピングについてはそれぞれ以下のようになったことを示しました.

 

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本シリーズ締めくくりとなります今回は腔圧についての考察を行います.もちろん検圧銃は持っていないので推測になりますが,腔圧が現れやすい雷管周りを観察することで,ある程度のことは推定できるかと考えました.まずは 17.0gr から 0.5gr 刻みで順番に観察します.

 

↑ 17.0gr

↑ 17.5gr

↑ 18.0gr

↑ 18.5gr

↑ 19.0gr

↑ 19.5gr

↑ 20.0gr

↑ 20.5gr

↑ 21.0gr

↑ 21.5gr

↑ 22.0gr

↑ 22.5gr

↑ 23.0gr

↑ 23.5gr

 

全数ではありませんが,22.0gr あたりから雷管に傷が入る個体がでてきました.例えばこんな感じです.

 


危険な領域ではありませんが,高圧兆候が見えてきたような感じであろうと思います.エアスペースが大きいため,薬莢内のどの辺りにどのように火薬が存在しているかと言うことも腔圧に影響を及ぼすと考えられますし,もうこれ以上は上げない方がいいと考えられます.

 

また市販装弾(Fiocchi 150gr FMJ)はこんな感じです.

 


これに装填されている薬量は 62gr くらいだと推測していますが,カタログ値 3000fps で,22" バレルにおける実射で 2900fps 程度出ています.それでも雷管の様子を見ると Longshot でいう 20.5gr あたりと同程度の腔圧と推測されます.市販装弾は結構威力重視のレシピで組んでくるものなので,それなりに腔圧は高いと思います.Longshot は稠密で薬莢の底の方にすこし入るだけなので,うっかりちょっと多く入れがちで,実際にそれをやってしまうと,市販装弾の腔圧を軽く超えて大変危険なことになりますので,あくまでも弱装弾として使用するのが許容範囲に収まる使い方であろうと推測します.

 

というわけで,今回は 30-06 に 150gr ジャケット弾を使用したときにも,少量の Longshot で軽く押せることが確認できました.通常のライフル射撃では弾速は上げた方がグルーピングがよくなる傾向にありますが,今回の実射では弾速を上げると逆に広がってしまい,17gr 程度がよいようでした.なお 308 のようなケース容積の小さなカートリッジに適用する場合は,薬量が 30-06 に比べて少なくなる傾向にありますから,最適な薬量はコンサバレシピから実射で求めていく必要があります.

 

ただご注意戴きたいのは,私はマグナム散弾のハンドロードに Longshot を現用していますから,このような減装弾を作ろうと考えましたけども,ライフルしかやってない場合に,このためだけにわざわざ Longshot を買うのはお勧めではありません.用途が限られますし,もし自分に合わないとなったときにも処分に困るからです.「はい,あげる」って出来ませんからね.他に Longshot の用途(マグナム散弾のハンドロード)がないのであれば,ここは素直に Trail Boss を買うべきかと思います.