週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

古出刃発掘と修理(2)

というわけで,出刃のダメになった柄を外して,錆を落としたわけですが,ようやく交換用の柄が入荷したので,取り付けに入りたいと思います.が,その前に買うところから. まず売っている柄はどれも同じような感じに見えるかも知れませんが,包丁の種類とサイズで選択する必要があります.今回の若丸は出刃の5寸ですから,リストから該当するものを選択しました.

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黒水牛桂(口金が黒水牛の角で出来ている)で材質は朴です.朴は軽量でそこそこ柔らかく,ヤニが出ず,水に強い性質を持っているそうで,和包丁の柄としては標準的に使われています.口金はプラスチックのものもありますが,後述するように和包丁は柄にさすときには,中子を赤熱させて打ち込むため,水牛の角だとこのとき触れても焦げたりしないので便利です.もちろん色や質感もいいですしね.うちの和包丁はここを水牛で揃えているので,それにあわせるという意味もありました. 大きさは並べてみるとこんな感じです.見えにくいですが,怪我をしないように刃体の刃にはテープが貼ってあります.

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ところが柄の穴が小さすぎました.

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穴の方は幅 6.1mm, 高さ 9.1mm ですが,それに差し込む包丁の柄元は幅 8.7mm,高さ 11.3mm もあるのです.これでは中子が入りきらず,柄元がずいぶん出ることになりますし,無理に入れれば材が割れるでしょう.出刃には種類がいくつかあって,近年は薄めのが主流みたいなんですよね.うちのは古いせいか厚めなようです. そのうえ,中子はサビを少し落としてからサビチェンジャーを塗ってあり,ゴテゴテしています.その出っ張りが引っかかるとイヤなので,まずグラインダで落とします.

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その後彫刻刀で穴を広げていきますが,大きすぎても意味がないので,後 1mm くらい削りたいなぁくらいでやめます.そして中子の先 1/4 くらいをガスバーナーで加熱し,柄に差し込み,ガンガン打ち込みました.

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このくらいまで入りました.下のは柄の穴を広げるのに使った彫刻刀です.朴は硬くはないのですが,スカスカというほどではないので削るときに失敗した部分がありまして,そこが見えちゃっています.

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そのうち防水を考えたいと思います.ちなみにこの柄は丸ではなくて,一部角があります.栗型みたいな感じですね.この出っ張ってる部分が刃体の表側に来るように付けます.ですから右手で持ったときに栗の先が右側に来て掌に収まる感じです. さて柄がついたら研ぐのも楽になります.#1000 から上げながらどんどん研いで最後は #12000.笑

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ピカピカになりました.ただあまり出刃っぽくないですね.笑 あまり綺麗に研ぎませんでしたが,顕微鏡で見るとこんな感じでギザギザしてます.

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のこぎりみたいですねぇ.粒子も粗いような.実際に切ってみないと分かりませんが,あまりきれないようならもう一度綺麗に研ぐことにします. #追記# 魚を切ってみました.切れ味はよかったですが,妻曰く,バランス的にはあともうちょっと中子が奥まで入った方がいいとのこと.私はちょうどいいと思ったのですが.