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狩りの思考法 角幡唯介
書き方が誰かと似ているなぁと思ったら,この方も元新聞記者だそうです.大学時代は探検部だったそうで,新聞記者を経てまた探検家に戻ってきたという経歴.面白いですね.
題名から狩猟に特化した深い話が読めると思いましたが,実際はイヌイットの世界観について筆者の感じたことを書き綴った本というほうが近いです.彼の中にはこれが狩猟だ,というような考えもあるようですけど,もちろんそれはイヌイットの狩りを著者が見たらそう思ったということであって,我々を含む,他の世界中の狩猟者がみんなそういう狩猟感を持っているわけじゃないのになぁと思うところはたくさんあります.
狩猟に限って得られた知見と言えば,アザラシくらいだと 22 口径を使っているらしく,白熊とかセイウチのような大型獣になると 30-06 なんですって.思いの外小さいのを使っているんですねぇ.まあ昔は弓矢や銛を使っていたでしょうから,30-06 でも十分強力なのかも知れません.あとはイヌイットには目立った狩猟儀礼はないらしい.アイヌとはずいぶん対照的だなぁと思いました.氷に閉ざされた極夜と白夜で時間という概念が希薄になる生活では神も仏もなくなるのかな?と勝手に想像しました.