週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

リリサイズ

使用済み薬莢を再利用する際には,弾頭を保持するテンションを持たせられる程度にネック部分を縮小する必要があります.これを「リサイズ」(resize)といい,専用の金型(サイジングダイ)に圧入することで行います.

通常のサイジングダイは下のような構造です.

 

cross section of a sizing die for bottle neck brass

 

下から薬莢を圧入し,①のところでネックが定められた直径よりも少し小さい状態にまで縮小します.そのあと薬莢を引っ張り出していき,ネックが②(ボタン)を通るときに,所定の内径に拡大します.この内径は弾頭を保持するのに必要なテンションを持たせるために,弾頭径よりも若干小さめになっています.ネックを変形させるのは行って帰ってで2回ということです.

 

一方,私が使っているのはブッシュダイというタイプです.

 

cross section of a bushing die for bottle neck brass


薬莢を下から圧入してくると,①のブッシュにネックが押し込まれて,外径がブッシュのサイズになります.ブッシュのサイズは前述のサイジングダイの①の径よりも大きくなっていて,最初から必要な外径が得られるようになっています.②のボタン径よりもネックは大きくなっているのが普通なので,ネックに力が掛かるのは往復でも一度だけになります.

 

このようにブッシュダイはネックの変形回数が少ないために,薬莢の寿命が長くなるという利点があるのですが,反面,ブッシュのサイズが適正でないと弾頭が保持できません.ブッシュのサイズは薬莢のネックの厚みで決まってくるので,薬莢のブランドによっても,同じブランドでも使用履歴で変わってくることになります.すると,ブッシュはいくつものサイズをもっていないといけないという面倒さはあります.

 

とはいえ,使用履歴が一緒なら,まあだいたい同じブッシュで用が足りるのが普通です.ところが同一ロットで同じブッシュを使っているのに弾頭保持がユルユルなのが何本か混ざっていました.

 


上がユルユル薬莢で手でここまで弾頭が入ってしまいました.これはいけません.対策としてはクリンプをかけるというのもありますけど,ネックがあまり大きいと銃の薬室に収まりにくくなるので,出来たらブッシュを変えてネックサイズをやり直したいところです.この差は薬莢の厚みから生じるので測ってみますと,まずは通常のネックが

 


0.373mm なのに対し,ユルユルネックは

 


0.340mm とずいぶん薄いです.思えば私は同一ロットでもレシピを変えて射撃することが多いので,使用履歴が同じだとは言えないわけですね.結局同程度のテンションが得られそうな小さいブッシュに入れ替えて再度リサイズしました.だからリリサイズですね.苦笑

 

 

使用したブッシュは上の写真で示すとおり,最初が 336 で,ユルユルには 334 でした.これ以上ネックが薄くても対応出来るようにもっと小さいブッシュも持っていますが,ある程度のネック厚みがあるものに小さいブッシュを使うと,ボタンが通るときに結局拡大することになるので,ブッシュサイズの意味がなくなってしまいます.ボタンが内径を規定するなら,普通のサイジングダイで良いわけですからね.

 

と,まあこんな悪戦苦闘を 300 フェス前にしてた夏休みでした.