これまた両者はそっくりな形をしていますが,上がネックテンションゲージ,下がプライマポケットゲージといって用途が違います.今回はネックテンションゲージの話です.
ネックテンションゲージは薬莢のマウスに突っ込んで,内径を確認するゲージです.これにより適正な弾頭把持力があるかどうかが推定できます.製品によって形状は異なりますが,うちにある .308" 用の例ではこんな感じになっています.
ステップ状になっていて,下から順番に
- 0.2985"
- 0.3015"
- 0.3045"
- 0.3075"
- 0.3095"
という直径です.この値はノギスで実測した表示値を書いていますが,そもそもの精度が 1/1000" 程度(最後の桁は保証されない)なので注意してください.いずれにしても,どこまで入るかで可否を判断します.
30cal (.308") の場合は,0.308" の弾頭をある程度の把持力で保持するには 0.3095" は当然として,0.3075" でも緩すぎます.下は 0.3075" まで入った緩い例です.
そして 0.3045" の段まで入るものは適切なネックテンションになります.すなわち適切な内径の薬莢だとこんな感じになります.↓
逆にこれより内径が小さいと,弾頭を挿入するときにジャケットに損傷を与えたり,ネックのほうが変形したりする恐れがあります.もしそういう薬莢が出た場合は,フレアツールという道具を使ってマウス付近を広げるとか,ブッシュ式ではない通常のネックサイズダイで,ボタンを内側に通して,適正な内径に修正することになります.
よってブッシュ式ではない,普通のサイジングダイを使っている場合は,このゲージは使わなくてもボタン径で内径が決まるので実用上問題ありません.しかしブッシュ式の場合は適用したブッシュが適正なサイズのブッシュであるかの判断をする必要があるため,このゲージは必携です.またステップの前後の微妙なところでとまることがあって,そういう薬莢は保持できたり,できなかったりということが起きます.まあ緩かったら弾頭をシートするときに感触で分かるので,そこでクリンプなどで修正をかけることも出来ますが,ゲージのステップがもうちょっとあればいいのにと思いますね.
さて次回はプライマポケットゲージです.