週末猟師

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【2024年春版】狩猟用ハンディを考える③:なぜ FT-60 なのか

まず狩猟用(主に巻狩など数キロ四方の山林として)の使用を想定しますと,以下の条件を満たすことが望まれます.

 

  • バンドは144MHz:尾根越えがある場合,430MHzより有利.
  • モードはFM:猟隊内との相互通話性が必須.
  • 出力最大5W:いざという時のために最大出力は大きい方が良い.
  • 運用時間10時間程度以上:朝から夕方くらいまでは電池交換なしで使いたい.

 

さらには狩猟にしか使わないような人は無線には興味がないと思うので,長期間放置によるバッテリー劣化で交換することになったときの入手性も気になります.扱いはガサツになると思われるので防水性もそれなりにあればよいかも知れません.

 

これらのことを念頭に,前記事で狩猟用にしか使わないなら FT-60,次点として IC-S10 を候補に挙げたのですが,その理由について述べます.

 

FT-60

 

2候補のうち防水性は IC-S10/T10 のほうが高いのですが,なぜ FT-60 のほうを先に挙げたかを説明します.まずカタログスペック的な防水性というのは,単体で静置し,温度変化もないような状態で発揮しますが,実際に狩猟用で使うときにはハンドマイクやイヤホンを接続するでしょう.これらのジャックの部分は密閉性が低いので,キャップを外した状態ですと,そこから水が入ってきます.またジャックにつないでいなくても,温かい車内から外に出て冷えると筐体内が陰圧となり,外気を吸い込むことになります.逆に寒いところから温かいところにいけば外面だけでなく内面も結露したりして,防水なのに画面内側に水滴が付くなんてことが起きます.こうなると防水性が逆に仇となり,なかなかその水分は出て行かないのです.

 

結局通気性がよい(=防水性がない)ほうが,一時的に結露しても,時間が経てばなくなるので,中途半端な防水性はないほうがかえってよいではないか,ということになるわけです.

 

FT-60 は防水性を謳っていませんが,結構なロングセラーなので,バッグやポケットの中に入れて使う分には問題ないのでしょう.

 

あとは電池がニッケル水素で,1.2Vセルが6本の7.2V 1400mAh 仕様となっています.ちょっとかさばりはしますが,乾電池ケースもあって,これに乾電池,もしくはエネループのようなニッケル水素充電池を使うことで,専用バッテリーが将来入手できなくなったとしても,継続的に使用できると思います.

 

一方,IC-S10 (または IC-T10)についてです.

 

IC-S10 / IC-T10


こちらはバッテリーパックが専用品なので,モデルチェンジ後の入手性については不透明です(後継機種があって,それが同じパックを採用すればいいのですが,どうなるか分かりません).また乾電池ケースもオプションとしては用意されていません.外部電源供給アダプタはオプションにあるので,これを買っておけば車載での電源供給で使用は出来ます.現在一台も無線機を持っていないのであれば,交換バッテリーが入手できなくなっても,車載用で使うからいいや,というのであれば悪くないと思います.

 

では IC-S10/T10 に利点はないのか?と言いますと,FT-60 のほうが 100g ほど重いので,そこをどう評価するかということになるでしょう.さすがにアイコムの方はリチウムイオンなのでその分,小型軽量になります.

 

ちなみに FT-60 のスペックを見ると,オートパワーオフで電源が切れた場合でも 0.8mA 程度の暗電流が流れるとあるので,その状態になっていると満充電の状態でも2ヶ月ほどで空っぽになる計算です.過放電はバッテリー劣化の原因になりますから,使わないときにはバッテリーパックは外しておきましょう.

 

マイク編につづく↓

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【2024年春版】狩猟用ハンディを考える②:各機種の特徴

前エントリ↓で狩猟用に適していそうなハンディ機をいくつかピックアップしてみました.

 

weekendhunter.hatenablog.com

 

特徴を個々に見てみましょう.まずはアイコムから.

 

IC-S10 / IC-T10

 

2022年春発売のこれらはキーパッドの有無だけの差です.価格は両方同じですけど,狩猟に使うならキーパッドのない IC-S10 のほうがよいと思います.なければ壊れないし,どうせ押すこともないでしょう.それに間違って押してしまうこともありません.防水性能はピカイチですね.

 



電源はリチウムイオン電池(容量2400mAh)で,外部電源のジャックは付いていないので,外部電源を使うのであればオプションのアダプタが必要です.防水性の高い無線機はみんなそうですけど,防水なのは外部マイクなどをつながずに単体で使うか,専用のマイクを使う必要があります.サードパーティ製だとその防水性能をフルに活かせない可能性があるのと,変なのを買ってしまう人も実際に身近にいたので,ネット通販で買うなら純正をお勧めします(専門店に行って相談して買うならその限りではない).この無線機の場合で防水なのはこちら.

 

HM-168LWP


ラインナップ的にはもう一つあります.

 

HM-158LA


こっちのほうが安いですけど,どこが違うかというとコネクタですね.まず後者の安いほうはこんな感じ.

 



これに対し,最初の防水マイクはこうなっています.

 


いくら本体が防水でもコネクタ部分はカバーを外せばそこから水は入ってきますので,外部マイクを使うときにも防水性を担保したいなら対応しているものを使う必要があるのです.これは他のメーカーでも同様です.ただ防水のはどうしてもゴツく重くなるので,私だったら防水マイクは選ばないです.

 

次は八重洲から FT-65 です.

 

FT-65


2017年夏発売です.バッテリはリチウムイオン 1950mAh ですが,外部電源端子は充電専用なので,バッテリがダメになっても外部入力で使うということが出来ません.バッテリを買い換えるしかないのです.ところがバッテリは専用品なので将来製造中止になって入手できなくなったら,無線機自体が使えなくなります.あと,特徴と言うよりなぜそうした?という点ですけど,アンテナ接栓が SMA-P (オス)なのです.普通本体側は SMA-J (メス)にするものなので,オスメス逆なわけですね.まあこういう変換があるので,これをつけておけばいいのですけど.

 

SMAJ-SMAJ 変換コネクタ


バッテリがダメになったときに新しいのが買えなかったら,それはそれで諦めて捨てるというなら,価格自体が安い機種なのでアリだとは思います.

 

もう一つ八重洲から FT-60 です.

 

FT-60


これは 2013 年春発売で,ちょっと古い機種ですけども,それだけ根強い需要があると言うことかと思います.バッテリはニッケル水素式で容量こそ 1400mAh と控えめですけど,乾電池でも動かせますし,外部電源も使えますので将来的にも安心で,長く使えるモデルと言えるでしょう.特に狩猟でしか使っていない人だと,前に電源を入れたのは1年前,なんてことになりがちなわけで,そうなるとバッテリが死んでることはよくあって,かえって専用品を使わないでも動かせる方が長く使い続けられる結果になりそうです.防水性は特に謳われていませんので,強い雨の時には袋でもかけるか,ポケットにという感じになりますね.まあ巻狩は雨ならやらないでしょうけど.

 

最後にアルインコからDJ-S17Lです.

 

DJ-S17L


これは珍しく 144MHz (2m) シングルバンドのFMハンディです.詳しくは知りませんが,DJ-S17 というロングセラーな先代モデルの付属バッテリをリチウムイオン(容量 950mAh)にしたもののようです.乾電池用のケースも最初から付属しています.防水性能もありますが,気になるのはリチウムイオンの容量が他モデルより小さいことですね.

 

というわけで,これらの中で猟期にしか使わないとすれば,私なら筆頭候補は FT-60 にするかなと思います.次が IC-S10.どうしてなのかを次にお話しします.↓

 

weekendhunter.hatenablog.com

【2024年春版】狩猟用ハンディを考える①:候補を絞る

前々々職が無線機屋だった週末猟師です.本則通り無線自体が目的なら選択肢は変わりますが,もし狩猟でしか使わないとなると選択はどうなるか?ということを猟期も終わる今頃になって考えてみました.グループにもよるでしょうが,巻狩で使うなら 144MHz (2m) FM でしょう.尾根越えでの回折損失は周波数の低い方が小さいので,430MHz より有利になります.ただ近年の無線機では 144MHz シングルバンドというのはあまりないので,144/430 デュアルでもよいことにしましょう.

 

出力については通信相手が目視できるような状況なら相当小さくてもいいのですけど,森だと植生による遮蔽もあるし,尾根越えすれば減衰も大きいですから定格は大きい方が安心です.もちろん必要がないときは出力を下げて送信しないと電池がすぐになくなってしまいますから注意が必要です.近年のハンディだと定格 5W といったところでしょう.

 

メーカーについては安いのを探そうと ama なんとかとか ali なんとかの通販サイトで見ると,それこそ数千円レベルの中華製の無線機がありますが,ああいうのはほんとゴミなので絶対に買ってはいけません.というのも,あれらは日本の基準に合っていない違法機なのです.売ること自体は現時点では違法とはされていないのですが,使った側は電波法違反で捕まります.ああいった店は顧客が逮捕される可能性があることを知っていても平気で売っており,良心の欠片もないのです.私たちが日本国内で安心して使える現行品を出しているアマチュア無線機メーカーはアイコム,八重洲,アルインコ,ケンウッドです.このうちケンウッドのハンディ機はいろんな機能が全部入りで当然高価なため,狩猟用としては除外します.アルインコも無線歴長めな私から見るとイマイチなメーカーというイメージなのですけども,今は亡き DJ-G7 で 1.2GHz を防衛しようというメーカーの姿勢は評価するし,技術レベルは進化するものです.ですから,そういう古い偏見は持たずに今回は俎上に載せることにします.

 

以上の条件から,選抜母体にはいるモデルを以下に挙げていきます.まずアイコムから

 

IC-S10 / IC-T10

 

八重洲からは

FT-65

それともう一つ

 

FT-60

あと FT-70D も割と安いですけど,FT-65 にディジタルモードをつけたみたいな感じで,狩猟目的には選ぶ意味が稀薄なため省略.

 

最後,アルインコからは

 

DJ-S17L

 

以上5機種です.ではこれからそれぞれのモデルの特徴を見てみましょう.

つづく

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【エアソフトガン】VSR-10 にスコープを載せる

室内での据銃練習用なので,スコープは出来るだけ低倍率からのものがよいです.性能も見やすさもそれほど求めませんので,とにかく安いほうがよいのです.ところがおもちゃのスコープなんて数千円で買えると思ったら,とんでもない話でした.探しても安いのって 3-9 倍のズームだったりで,最小倍率が結構大きいのです.外で使うならいいんだけど,家の前でもこんなの振り回してたら間違いなく通報モノですからねえ.苦笑 室内用だから低倍率がよく,とはいえドットサイトみたいにどこからでものぞけるようなものだと,スコープの練習にならないので,なかなか難しいところ.結局選んだのはこちらでした.

 

Victoptics ZOD 1-4x20

Victoptics ってなんだ?と思ったら,Vector Optics という廉価なメーカーのラインナップでその中の更に廉価なブランドらしい.なのに,なんと七千円もしました.製品の善し悪しの前に普通は避けている中国製ですが選択肢がないのですから仕方ない.

 

届いたので早速開封.

 


主要な部分はこんなとこ.

 


リングが付属なのですぐにつけられます.

 


VSR-10 には専用オプションのレールをつけていますからね.

 

東京マルイ No.2 VSR10 用マウントベース


付属のL型レンチは錆びてました.苦笑

 


ちょっと気になるのが商品の写真と接眼部の形状が異なることです.

 


すぼまった形状になっていますよね.これだと,バトラーキャップとかつけにくいです.まあ屋内用なのでつけるつもりもないのですけど.とりあえずさくっと載せてみました.

 


接眼部は下げたいのだけど,レバーと干渉するのでこれくらいが限界です.ボルトハンドルとスコープのズームレバーがあたるのですよ.

 


頑張ってこのくらいかなぁ.これでも指が挟まります.

 


VSR-10 はハンドルを引くときにスプリングを圧縮するため,そこそこ力が要るので,あまりここに隙間がなくてハンドルが握りにくいのはよろしくないのですよねぇ.まあ練習では弾はあまり飛ばさないし,逆に倍率を頻繁に変えるのでなければ,ズームレバーは回せば外せるので,最初からレバーは使わないという方法もありますね.

 

あとはスコープを覗くときにやっぱり照星が気になるので外しました.

 


両面テープで付いてるだけだから,戻したくなったらまた貼ればいいやと.

ベレッタはコングロマリットか!?

某成城石井でこんなの見つけちゃいました.

 


プロシュートという生ハムの一種です.いろんな生ハムが店頭に並んでいる中から何故コレにしたかといえば...

 


分かりやすい理由でしょ.笑

 

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機材調達で大移動

今週のお題「大移動」ということで,本ブログの主テーマであるリローディングで大移動したお話.

 

通りがかっていただいた皆さんへ簡単に説明しておくと,リローディングというのは「使用済みの薬莢に火薬類を装填,弾頭を装着して,再び実包として使用できる状態にする作業」のことです.撃ったら薬莢は捨ててしまうものだと思われがちですが,実包の中で薬莢は唯一再使用が可能で,かつ高価な真鍮で出来ていることからコストの半分近くを占めている部材なのです.そして一見単純なように見える作業にもいろいろな工夫が必要なので,関連機材は種々あり,特にアメリカではリローディング自体が趣味の分野として確立されています.

 

 

もちろん銃砲自体のマーケットが極めて小さい日本では,民生向けリローディング関連メーカーはありません.従って関連機材は全て輸入となります.そしてこれらは銃器に直接関連していないので,多くの機材は個人でも通販で購入できます(ただし火薬類等は不可).ただ近年は輸出入時のトラブルを嫌って,海外に販売しないお店が増えています.なので,これ以上販売店を減らさないためにも,購入者側が日本はもちろん輸出国側の十分な法知識を持っていないといけない,というのが普通の通販とは事情が異なるところです.

 

というわけで,大体のリローディング機材は通販で調達できますが,たまにちょっとマニアックでニッチなアイテムで,取扱店も少なく,見つけても海外発送してくれない店だったりすることがあります.こういうものはリストを作っておきまして,ある程度たまったところでアメリカまで買いに行ったりします.コロナ騒ぎが始まってからは全然行けていませんが,リストもたまってきたのでボチボチお買い物で大移動することも考えましょうか.

 

 

余談ですけど狩猟で海外に行く人もいますね.昔おさんどん付きのシベリアツアーに行った話とかも聞いたなぁ.ただそこまで行かなくても,北海道なんかは世界的に見ても鹿密度の高い場所ですから,出猟したい場所の一つですね.

 

 

とかいいつつ,私には冬の北海道というだけで大移動というイメージです.深い雪の中を歩くだけで HP が0になりそう.苦笑

 

【エアソフトガン】VSR-10 の初期カスタム

先日在庫確保したものを買ってきました.

 


東京マルイの VSR-10 というエアコッキングタイプのエアソフトガンです.

 


おもちゃとはいえ,実銃と比べてしまうといろいろ気になるところはありますねぇ.例えばボルトは引くときが重いです.多分このときにスプリングを縮める構造になっているのでしょう.実銃では空なら引っかかりもなくスルっと抜けるものです.あと引いてもイジェクションポートはあきません.中が見えず残念.

 


それとポート直下からずいぶんとズレたところにマガジンがつきます.ポートのあたりに蓄気して,マガジンの所の弾を吹き飛ばすからなんでしょうね.

 


照星は両面テープで付いているようなので,エイヤッと外すことはできるみたい.スコープをのぞいてみて気になるようなら外してしまおうと思います.マズルの赤いのはセイフティプラグで,撃つときには外します.プラ弾は 6mm だから 243 には使えそうだけど,実銃でこんな外し忘れそうなプラグは怖いですねえ.

 


マズルにサイレンサー等取付用のアダプタをつけようとしたら着脱に使用する専用レンチが見当たりません.付属するはずなので変だなとおもったら,この箱の中にはいってました.

 


早速レンチで外しますが,逆ネジなので注意.

 


外すとこんな感じになります.

 


アダプタはこんな様子.

 


上がサイレンサー等をつけるためのオプションアダプタで,下が元から付いていたものです.スコープマウントのレールは照門を外さないと付きません.

 


上のネジ(レールに付属の 1.5mm のアレンキーを使用)をはずします.すると,パカッと上にあがり,下にプラスネジが見えるので,これを #2 のプラスドライバ(各自用意)で外します.

 


後ろのねじ穴はメクラネジでふさがっているので,これは外します.

 


レールをつけます.

 


ここで気になったのはレールの長さです.確か amazon の商品説明には 15cm とあったはずですが,実測すると 14cm くらいしかありません.となると手持ちのスコープは付かないかも?ただいずれにしてもレールはつけないと進まないのでつけましょう.良く見るとネジは長短あります.

 


照門を外したところにつける,前のネジ2つは短いほうをつけます.メクラネジを外したところにつけるのは長い方の2つになります.前に長いのをつけちゃうと内部構造にダメージを与えるので注意しましょう.この辺は実銃でもありがちなトラブルですよね.苦笑 そんなこんなで前後あわせて4本のネジでレールをつけたら終了.出来たらここはネジロック剤を使った方が良いかもですね.

 


さて載せようと思っていた実銃用のスコープ SCHMIDT⦿BENDER EXOS を当ててみます.

 


おしい!半ノッチ足りませんでした.苦笑 スコープ側のリング取付位置ずらせば付くようにはなりますが,そんなことをしてしまうと,これをのせる実銃のほうのサイティングをしなおさないといけなくなるので止めておきます.仕方ない.おもちゃのスコープをどこかで買ってこよう.

 


東京マルイの純正オプションは3〜9倍ということですけども,家の中での据銃練習に使いたいので,倍率は低い方がいいんですけどねぇ.例えば外で 100m 先を 10 倍で見てるとして,それがもし 8m で練習するなら,0.8 倍みたいに遠く見えるくらいの方がいいです.そんなのあればの話ですけどね.笑

 

ところで本体は重さが2キロちょっとしかないので,そのうちプラスチックのストック内にオモリを仕込みたいですね.ただそれだけだと後ろが重くなるので,マズル先も重くしたいです.ただマズルアダプタは逆ネジなのです.

 


だからこのアダプタに何かつけるよりも,専用オプションを改造してオモリを仕込んだりするほうがいいかも知れません.なんだったら,実銃より重くして練習するか.目指せ,大リーガー!!(違)

 

あとはスリングピンも出ているので,ターナースリングをつけてみました.

 


これでヒモ捌き(笑)の練習も可能に.ただこうなると,スコープをどうにかしないとですね.

 

最後に今回使った機材の紹介です.