週末猟師

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最初に買うべきプレスを考える

日本国内にいるあなたが,もしこれから初めてライフルを買うというタイミングで,プレスをはじめとしたリローディング用品もそれにあわせて準備しようとしているなら,最初に買うべきプレスはどう選ぶか?というエントリです. 逆から行ってみますか.まず明らかに最初に買うべきではないのは,プログレッシブタイプです.
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RCBS PRO CHUCKER 5
同一の実包をたくさん作るという条件では,一度セットアップが出来てしまえば,サイクル毎に1発できる高速性はいうまでもありません.しかしながら,リローディングは細心の注意を払うべき作業であり,セッティングが完璧でなかったり,ちょっとしたトラブルがあったりすると,そのリカバリにかえって時間がかかってしまいます.ましてや間違ったものを気づかずに撃てば大事故につながります.それにプログレッシブを持っている人でも,結局はシングルステージも持ってるということからも,小回りがきくものは一つ必要だというのは誰もが感じることでしょうから,まずはシングルステージにすべきです.そもそも日本では1日に製造できる数が百個に制限されているわけですから,プログレッシブのご利益はないとも言えます. シングルステージには派生モデルとして,ターレットプレスがあります.これはあくまでもシングルステージではありますが,ダイを複数搭載することができ,ターレットを回転させるだけでダイの入れ替えができるというものです.普通のダイは何十回も回して取り外し,取り付けを行うため,それが結構時間が掛かるのですが,ターレット式はその手間がないということが大きな利点です.欠点としては,普通のシングルステージに比べると少々高いということです.
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Lyman T-MAG II
ターレットヘッドにのるダイの数は現行機種の Redding T-7 だと七個,Lee は四個,Lyman T-MAG II や RCBS は六個です. ちなみに材質に関して触れておくと,プレス自身はアルミダイキャスト製やキャストアイロン(鋳鉄)製のものがあります.ピストルのような straight wall 型の薬莢に対してはアルミダイキャストでも構いませんが,ライフルの多くは bottle neck 型で,かなりの力がかかりますので,鋳鉄製のほうがよいと思います.また ram(シェルホルダが取り付けられる棒状の部分)もできるだけ太いほうがよいでしょう.重いですが,最初にしっかりしたものを買っておけば,一生モノだと思います. さてこれでだいぶ絞れてきたのではないでしょうか.ターレットにするか否かは,これからどのようなキャリバーを扱うかにかかってきます.例えば 308Win とか 30-06 だけだ,というのであればターレットがよいのではないかと思います.ターレットはヘッドの入れ替えは可能なのですが,ワンタッチというわけではないので,あまり現実的とは思えません.使うダイが全部のるならよいのですが. しかし例えばうちだとキャリバは3種類ありますから,それぞれにフルサイズ,ネックサイズ,シーティングときただけで,ターレットで一番大きな Redding T-7 でも乗りきれません.こうなると,ターレットでは逆に手間がかかるので,普通のシングルステージにクイックチェンジブッシングをつけるのが次善の策ということになるわけです. もし1種類だったら,最大でもフルサイズ,ネックサイズ,シーティング,ディキャッピング,クリンピングくらいでしょうから,Lee 以外なら足ります.あとは狩猟用セミオートとかで,フルサイズ+シーティングだけで大丈夫というのであれば T-7 で2キャリバいけちゃいますね. というわけで,今の私ならこれにするというプレスは, (1)もしライフルが一丁だけ,もしくは複数でも同キャリバ,あるいは異なるキャリバでも片方はフルサイズとシーティングだけしか使わない,という条件なら Redding T-7 です.
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もちろんこれ以外に RCBS や Lyman がありますが,それを選ばなかったのは穴の数もありますが,使用済みのプライマをキャッチする方式の違いもあります.Redding はチューブに入っていくので散らかりません.ただしチューブ自体は汚れるので,好みの問題はあると思います. (2)もし複数のキャリバそれぞれにいろんなダイを使いたいという条件なら Redding Big Boss II にします.
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Redding Big Boss II を選んだのもプライマキャッチャが効いています.現在自分が使っている RCBS の Rockchucker Supreme は,プライマキャッチャの点以外は満点をあげても良いと思うほど気に入っていますが,逆に言うとプライマキャッチャだけはどうしようもないのです.サードパーティから3Dプリンタで作ったようなものも出ていますが,イマイチ感が漂います.Big Boss II のラムと入れ替えられたらいいのですが,残念ながら長さが違います. ちなみに同じ Redding でもなぜ Boss を選ばないかというと,プライマキャッチャの方式の問題以前に,大きなダイがつくようになっていないため,クイックチェンジのブッシングがセットできないからです.通販では写真で見るしかないので,どうしても値段に目が行きやすいかと思います.同じようなものだろうから,値段が安いほうがいい,というのもわかりますが,その差は結局安物買いの銭失いという結果にもつながるので,送料がかさむことも考慮して,よりよいものを選ぶのが結局のところ最も経済的になると思います. さて私だったらこれを買う,という話でしたから,もちろん経験者の方には異論があるかもしれません.これから買うという方もこのエントリを丸呑みしないで,あくまでも参考としていただいて,いろんな方のレビューを見て決めてもらえればと思います.質問がある方はコメントをお願いします.私が答えられるかはわかりませんが,できるだけ対応したいと思います.