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【勝手にFAQ】散弾リローディングにおけるトラブル

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散弾銃のリローディングのトラブル

まあちゃんとマニュアルにあるレシピを使えば大きな事故にはならないと思いますが,実際にリロードすると直面するであろう問題点についてエントリしたいと思います.思えばリロードファンだからいいことばかりここには書いていたかも知れません.少しはマイナス面も書かないといけませんね.

まず大きいのは散弾特有の難しさです.ライフルの場合は弾頭と弾速から薬種薬量を確定しますが,このとき例えば弾速を少しずつ変えるために,薬量を変えたものを作るなんてことは容易です.というのも,弾頭は薬莢のネックで保持されるため,中の薬量は薬莢の容量以内であれば任意(といっても少なすぎは危ない)に決められます.要するに薬莢内で火薬が(少なくて)遊んでいてもいいのです.これをエアスペースと言います.ところが散弾の場合はこれがありません.火薬はワッズで押しつけられるのです.

一方,散弾実包は完成したときの長さは決まっています.ですから,火薬の高さとペイロード(散弾や弾頭部分)の高さの和を,薬莢容積の高さから引いた高さのワッズが必要になるのです.容積は薬莢のベースワッドの構造でも変わってきますから,薬莢の選定は大事なことです.また同じブランドの薬莢でも微妙に構造が異なるバージョンもあるようで,レシピ本に載っている組み合わせでも,高さが合わず適切なクリンプがかからない場合もあります.

このとき本来ならどのような対策をするかというと,別のワッズを試します.しかしワッズが変わると腔圧も異なるので,危険性のない組み合わせを見つけるのはなかなか難しいです.というのも腔圧はちょっとした変更で大きく変わり,また本に載っているレシピの腔圧は安全圏内ギリギリになっていたりします.ですからいろんなデータを見て研究し,どの部分をどのように変えると,どのような影響が出るかといった推測が出来るようになるまでは,レシピの自己開発はすべきではありません.この点を解決したとしても国内では入手が容易なワッズの種類は限られます.12GA でも数種類しか買えないのに,別の口径にしたらレシピ開発は困難を極めることでしょう.輸入は可能ですが,いろいろ買っても量が多いのでかさばる不良在庫をいつまでも抱えることになります.

というわけで,散弾リロードはまず部材の調達状況がアメリカに比べて悪いので,レシピの決定が最も難しいです.その代わりこれさえ出来ればあとはそれほど難しくありません.一方,ライフルはレシピは簡単に決められますが,射撃精度を上げるための技術は散弾に比べてだいぶ高度なものが必要になる一方,散弾リロードは最初が一番難しいというのが問題なわけです.

部材関連で実例を思い出すと,以前にも書いたことがありますが,プライマーやポケットのサイズが米系と欧州系で異なるというのがあります.日本製の散弾は一から作っているわけではなく,欧州から雷管がついた薬莢の状態で輸入し,あとを組み立てているので,薬莢+雷管は欧州系です.そしてこれは米系より若干大きいです.従って米国製の雷管を,入手容易な日本ブランドの薬莢につけようとしても脱落してしまうのです.なのに欧州産の雷管は売ってなかったりします.で,結局うちでは米系にそろえています.

あと聞いた話では,合わない火薬を買ってしまったというのもあるようです.多分レシピ本をみてやや遅めの火薬を買ったのだと思いますが,部材の組み合わせの問題やクリンプ強度で腔圧が上げられなくて燃焼不良を起こします.アメリカだったらそのまま置いておけばいいですが,日本だと装弾ロッカーの中にいつまでも使えないボトルが大きな顔をして居座り続けることになります.あまり古くなると分解が始まって危険ですが,だからといってその辺に捨てるわけにもいかないし.....

まあそんなこんなでいろいろな問題があるのは確かです.でも私は本末転倒のようですが,撃つために作るというより,作るために撃つ,すなわち撃つよりリロードのほうが好きといっていいくらいなので,問題に直面するとそれすら楽しいわけですが,リロード自体にはそれほど興味はないのに,例えばコストのためにやるということだと後悔するかも知れませんね.結局いろんなところで高くつく上に,ライフルと違って工場装弾より精度が上がるってことはないですし,いろんな不良在庫を抱えるリスクもありますから.