週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

火薬学の基礎

図書館シリーズです.

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著者は立派な経歴の方なのですが,日本語の文章がちょっと変です.以前採り上げた新編火薬学概論の方が私には勉強になった感じ.でも力学の度合いはこっちのほうが大きいかな?まあ著者の専門が違うのでしょうね.直接火薬に関係していない一般的な化学分野の記述も結構あります.

この本から得られた知識で私が役に立ったと思ったのは,火薬のエネルギーは燃焼ガスの温度に比例し,燃焼ガスの分子量に反比例するということですね.前者は当然だけど,後者がなるほどと思いました. シングルベース火薬はニトロセルロース(NC)が主成分ですね.発射力を増加させる,すなわち火薬エネルギーを増加させるには,燃焼ガスの温度が高くなるようにすればよいです.

そこで生まれたのがダブルベース火薬です.これはニトロセルロースニトログリセリン(NG)が主成分となります.反面,燃焼温度が高くなるので,銃腔を焼食してしまいます.そこでニトログアニジン(NQ)を足したのがトリプルベース火薬です.ニトログアニジンは燃焼温度がそれほど高くなく,水素ガスを発生させる物質で,これにより分子量の低い燃焼ガスを発生させることができます. 化学組成は製品によってかなり異なりますが,一例として下のような値(まるめています)が載っていました.

ダブルベースとあまり変わらない発射エネルギーが得られるけれども,燃焼温度は低めに抑えられるというのが,トリプルベースの利点となるようです.