週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

膠を旅する

なめしにも興味があり,皮革産業関連の本を図書館で借りたりしています.関連分野として畜産,食肉産業の歴史的経緯を含む成り立ちなども,かなり複雑ですね.直近ではこちらの本を発見.

 

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膠を旅する/内田あぐり

 

内容紹介にはこうあります.動物の皮屑を原料とする日本画の伝統画材「膠」。北方先住民族の狩猟と皮なめし文化、牛と鹿から剝いだ一枚皮からの膠づくりについて記すほか、膠の研究を続ける画材店へのインタビュー等も収録する。屠場などの写真あり。

 

膠(にかわ)は当然革に関係していますから,この本も面白そうだと思って借りてみました.主題の膠は画材としての扱いが主でとってもディープ.ただし期待したとおり,革の話もありました.

 

例えば太鼓の革の話は面白かったですね.太鼓に使われる革は,昔の役牛の方がしっかりしているそうです.今の肉牛は余り適していないのが多くて,古い方が良いものが多いそうです.太鼓に使うときは,背中を真ん中に丸く切りだし,傷などを避け,尻側が厚いので叩くところ(下の方),首側は上にするのだそうです.太鼓修理の依頼を受けると,百年以上経ってるものもあるそうです.それだけもつということですね.

 

皮を加工するとき,毛は筆などになったり,内側はニベといって膠にしたりするのですが,それぞれに産業がくっついてきています.また革は古くなると細かく裁断して膠をとり,カスは肥料になったりと,捨てるところがないとのこと.ただ現在はそのような商売が成り立ちにくくなっていて,伝統的な材料(ある種の膠など)が製法も含めて途絶えてしまったりしてるそうです.あと油は石鹸になるので業者の多い墨田区にはライオンなどの石鹸会社が多かったそうです.確かに食肉皮革産業は昔に都心を追い出されて,浅草やら向島のほうに移動していますから,確かに今でもそういうお店は多いですね.私もレザージャケット探すなら,まずは浅草に行きますし.