週末猟師

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30-06 に適した火薬(2)

以前のエントリで「30-06 に適した火薬」を起こしました.これはケースと弾頭重量から最適なパウダーを選ぶ方法に関するものでしたが,その方法は Max Load の中で最も使用する火薬の少ないものを最適と判断するというものでした.意図としては最も効率の良いものを選ぶということにあったわけですが,実際は各パウダーでリストされている弾速は異なるので,あくまでも簡易的な選択方法(計算をしないという意味)でした.

本来はそのパウダーをある量使用して得られる弾速から,弾頭の運動エネルギーを計算し,それをパウダー量で除し,単位パウダー質量(1gr)当たりの弾頭エネルギーを計算するべきなのです. 計算式としては高校の物理で習うとおりですが,下式を使います.

 

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m は弾頭重量[kg], wp は薬量[gr], v は弾速[m/s]で,左辺は単位薬量あたりの運動エネルギー[J/gr](以下,単に効率という)です.

Hodgdon のレシピでは Hodgdon, Winchester, IMR しか調べられませんが,30-06 で例えば 110gr (Hornady の弾頭の場合)における薬種別の Max Load は以下のようになっています.

 

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ここから各レシピの効率を計算して最大になるものを選びますと, IMR 3031 になり,その効率は 72.7 J/gr となりました.

このように掲載されている全ての弾頭重量に対して,最大効率となる薬種を選択しますと以下のようになります.

  • 110gr IMR 3031
  • 125gr IMR 3031
  • 130gr IMR 3031
  • 150gr IMR 3031
  • 155gr IMR 3031
  • 165gr IMR 3031
  • 168gr H4895
  • 175gr IMR 4166
  • 180gr Benchmark
  • 190gr Varget
  • 200gr H4895/Varget
  • 208gr IMR 4166
  • 220gr Varget

まあ実際はなんでも買えるわけではないので,入手できる薬種から最大効率を持つものを選ぶことになるでしょう.これを以前の結果(弾速を見ないで単に薬量最小のを選ぶ)と比較しますと,その結果は

  • 110gr 748
  • 125gr 748
  • 130gr IMR 3031
  • 150gr IMR 3031
  • 155gr IMR 3031
  • 165gr IMR 3031 / IMR 8208XBR
  • 168gr H335
  • 175gr H335
  • 180gr H335 / H4895
  • 190gr H335
  • 200gr H4895 / IMR 4166
  • 208gr H4895
  • 220gr Varget

でしたから,簡易な割りにはそれほどずれていないことが分かります.薬種を絞るなら,「IMR 3031 と Varget でいい説」はまんざらでもなかったわけですね.笑

余談ですが,爆発エネルギーはよく TNT 換算されたりしますね.これは 1 g 1000 cal です.すなわち 4184 J/g です. 1 gr あたりに直すと 271 J ですので,30-06 の変換効率って,ざっと 27% くらいなんですね.ガソリンエンジンと同じくらいかな.

更に余談ですが,グリコキャラメル換算してみましょう.グリコキャラメルは一粒300mですが,これは身長165cm, 体重55kg の人が分速 160m で走った場合の1分あたりの消費エネルギーを 8.21kcal としたとき,一粒 16kcal で 1.95分走れるため 300m としているそうです(参考).

で,先ほどのレシピ IMR 3031 を 54.9gr 使った場合に得られる運動エネルギーは約 4kJ でしたが,これは 0.954 kcal ですので,わずか7秒しか走れません.すなわち18.6mしか走れないのです.結局グリコキャラメルを16等分にしたうちの1つ分のエネルギーしかないのですね.一舐めくらいでしょうか.苦笑

いつか火薬ではなくて,グリコキャラメルを詰める時代が来るのかも知れません.笑