週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

ライフル弾頭の種類

ライフルで使われている弾頭にはたくさんの種類があります.ここでは日本で射撃や狩猟でよく使われていると考えられる弾頭の形状について採り上げてみようと思います.重さや材質,内部構造も多岐にわたりますが,ここではそこまでは掘り下げないであくまでも外見だけ,それも Sierra の .308 cal からだけ採り上げます. まずは RN = Round Nose です.
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見て解るとおり先が丸みを帯びていて,銅ジャケットの中の鉛が先端に露出しています.この露出によって獲物に当たったときに弾頭が変形して,運動エネルギーを効率よく目標に遷すことが出来ます.主に狩猟に使われるタイプで,特に丸みを帯びていることで軽い草葉に当たっても弾道がそれにくい特徴があり,猪猟にはよく使われます. 次は FN = Flat Nose です.
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この弾頭はチューブ弾倉を持つライフルに使用される 30-30Win 用として使われています. 次は FMJ = Full Metal Jacket です.
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この弾頭に関しては形状は RN と似ていますが,先端まで銅のジャケットで覆われているところがポイントです.獲物に当たっても変形しにくいので,日本では狩猟にはあまり用いられません. 次は HP = Hollow Point です.
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写真では解りにくいですが,先端が完全に閉塞されておらず,小さな穴があいたような感じになっています.上のようにこの穴が小さいものは射撃用途です.逆に大きいものは狩猟用途で,獲物に当たったとき急激に変形するので大きなダメージを与えます.狩猟用は以下のような形状です.
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次は SPT = Spitzer Point です.
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広く開いたホローポイントの先端から中の鉛が出て,先端が尖っている,いわば鉛筆の先のように見えるタイプです.これは狩猟に用いられます. 次は SBT = Spitzer Boat Tail です.
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弾頭の先は SPT と同じですが,弾頭のおしりが狭まった形(Boat Tail)になっています.これは弾頭の空力特性を向上させるために工夫された形状です. 最後は HPBT = Hollow Point Boat Tail です.
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上の SBT と同じように HP 弾のおしりが Boat Tail になったものですが,先端の開きが小さいこのタイプは射撃用途には最も使われている形状だと思います. というわけで,代表的な例だけでもいろんな種類があるわけです.なお射撃用と狩猟用の違いは,射撃用は目標(的紙)に当たった後はどうなっても関係ないのに対し,狩猟用は獲物を確実に射穫するために構造などが考慮されているというところにあります.一般には狩猟用を射撃用に使ってもよい(空力や精度はまた別の話)ですが,その逆は当てはまりません. あとは射撃の場合は一発装填・一発発射が原則なので,弾頭の保持のために薬莢にクリンプをかけることは必要がないため普通しません.しかし,実猟で使う場合はマガジン内の装弾は前弾の射撃による衝撃で弾頭がずれることがありますので,クリンプをかけることが多いです.この場合は cannelure(クリンプ用の溝, crimping groove とも言う)が付いている弾頭を使います.こんな感じですね.
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真ん中辺りの溝がそうです.この溝が薬莢のマウス先端にくる位置でシートしてから,クリンプします.ただ cannelure があるからといって必ずクリンプしなければならないわけではありませんが,逆に cannelure がない弾頭はクリンプしません.クリンプの仕方によっては異常高圧が発生する場合があります. なお余談ですが鉛弾の場合は溝がいくつもあることに気づくでしょう.
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これはクリンプ用の溝ではなく,bullet lube という蝋などから作られている潤滑のための半固体を保持するためのものです.鉛は柔らかいので,そのままで撃つと銃腔内に鉛がべっとりと付着(leading といいます)してしまいます.lube はこれを軽減するためのものです.