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【勝手にFAQ】短い銃身は広がるのか?

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銃身長 散弾 広がり
多分ですが,銃身が長い方が散弾の広がりは小さく,銃身が短いほど散弾は開く,と考えておられるのかも?と想像します.なので,表題のような疑問だとしましょう.

自分自身で実験をしたわけではないのですが,物理学的観点から考えれば銃身の長さと散弾の広がりはほぼ無相関だと考えます.もちろん銃身長の範囲は常識的な 24" ~ 30" くらいの想定で,チョークの影響はどちらも同じだと仮定してです.というのも,散弾は銃口を離れるまではカップの中に入っており,離れてから少し飛翔した後,カップが受ける空気抵抗により散弾より減速が大きくなって分離するという現象が過渡弾道(砲内と砲外の間の遷移状態)で起こるからです.

しかし市販されているクレー用の上下二連は,遠距離を狙うトラップ銃は 30",近距離になるスキート銃は 28" というのがスタンダードですよね.で,確かにこれらは散弾の開き方も異なります.しかしこれはチョークの影響が大きく,銃身長は関係ないと思います.もちろん 28" 銃身の方がターゲットまでの散弾の飛翔距離は 30" のそれに比べて 2" だけ長い(笑)わけですから,その分開くでしょうけど,ここではその影響は無視ですよ.

ではなぜ遠距離用の方が銃身が長いか.それは長い方が狙いが正確になるからだと思います.要するにクレーの場合はリブで狙いますから,基線長(ここでは照星と中間照星もしくは目との間の距離)が長い方が,角度分解精度が高くなるというわけです.というわけで,トラップ銃が長いのは散弾の開き方が小さくなるからと言うのではなく,狙いがより正確になるというのが理由ではないかというのが,私の見解です.といっても,私も素人ですから見落としている要素はあるかも知れませんが.

ちなみに過渡弾道学的に考えると(法的には許されませんが)極端に短くして 10cm とかにしたとしますと,砲内での加速が十分できませんので,銃口を離れたときに後方からの燃焼ガスの影響をガスシールが過大に受け,モーメントが発生することでカップの進行方向に対する角度が大きくなり,散弾が大きく広がると推測します.もちろんやったことはありませんが....ですから,ここでいう銃身の長短においてこのような極端な例は考えず,ある程度の幅の中での仮定で,また火薬や他の条件も散弾銃で使用される一般的なものを念頭においています.

【余談】20" バレルでマグナムを使うと,結構炎が上がってみえるようです.ですから,このくらい短いと過渡弾道がガスの影響を受けて散弾が広がりやすくなる可能性はあるかも知れません.ただパターンを取ったわけではないですし,差がこれに起因すると断定できるほど上手ではないのですが.笑