週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

長距離射撃におけるカートリッジ選択

なんていう感じの記事[1]が HL 誌に載ってました.国内では射撃場って 300m までしかないので,長距離射撃を楽しむことは出来ないと思った方がよいわけですが,鹿猟などで遠くを撃つ機会がゼロというわけでもないでしょうから,一応読んでみることにしました. 結論から言うと,カートリッジはいろいろ選べますが,その中でベストを決めることよりも,選んだカートリッジでの最適なハンドロードを極めることの方が圧倒的に大事だと言うことですね.というと,これで終わってしまうので,最適化されていない平均的な組み合わせだったらどうかという内容です. すると米国では狩猟における長距離射撃に使用されるカートリッジで人気があるのはこんなのがあるそうです.
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左から 6.5-284 Norma, .270WSM, 7mm Rem Mag です.これらは鹿に使われるものですね.熊などは確実に倒せる近距離からの射撃に限るわけですが,鹿だともちろんわざわざ遠距離だからと狙うことはないにしても,近くにも遠くにも鹿がいて,遠い方が角が立派だったら,そっちを撃ちたくなる人もいるわけです.ですから,そういうための選択というのが前提にあります. ちなみにいろんなカートリッジの比較がありまして,その表を抜粋するとこんな感じです.
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これを見ると思いの外 .308Win が健闘していないのですね.もちろん .30-06 などと比べるとリコイルが小さいですが,同じくらいリコイルの別口径を探すと .270Win があります.しかしこれと比べた場合,鹿クラスを倒すのに必要な目安とされている残存エネルギー 1000 ft-lbs を維持する距離が .270Win が 610 yd なのに,.308Win が 540 yd しかありません.するとこれらを比較した場合の .308Win の利点はショートアクションであるということくらいになってしまいます.しかし遠距離から狙って撃つのに連射性が効いてくるとも思えないのですよね. なんて書くと .308Win ダメじゃん,なんていう風に読む人が出てしまう可能性がありますが,そんなことは言ってないのですよ..308Win はとても優れたカートリッジで燃費もいいし値段も安い,トータルで考えれば .270Win よりも選びやすいカートリッジです.この比較はあくまでもリコイルと残存エネルギーだけで考えていますから,カートリッジ選択にあたっては,自分の用途や環境などをよく吟味して,最適なものを選び,そしてそのカートリッジでレシピを最適化すれば,それが最強なのです. [1] Rick Jamison,"Long Range Shooting Part I: Cartridge Selection Factors," Handloader, No. 310, pp.10-12, 2017