週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

ライフル リローディングキットを考える(1)

ライフルを始めますと,市販装弾の値段にビックリするでしょう.弾数をそれほど撃たないならそれでも我慢の範囲かも知れませんが,練習もやりこみたいとなると自分でリロードする人が多くなるのも当然です.精度のためのリロードというよりは,経済のためのリロードというわけです.

ライフルを持つ頃には,普通はすでに十年以上の射撃経験があるとは言え,ライフルは初めてであれば,リロードのためにどんな道具を買えば良いか分からないという人も多いと思います.やりたいのは射撃や狩猟であって,リローディングそのものではないという人ならリロードには興味はなく,とりあえず弾が作れればいいと思う人もいるでしょう.そんなとき各社からリローディングキットが出ていますから,これだけ買えばとりあえずの作業はできるだろうと考えるかも知れません.

が,それは間違い.

基本的にキットにはリロードに必須であるダイとシェルホルダはついてないです.なぜこれがついていないかというと,これらはカートリッジによって異なるからです.一応キットの説明に「ダイとシェルホルダは別売りです」と書いてあるはずですが,目に入らない人もいると思いますので蛇足ながら申し上げた次第.

では実際にどう買えば良いのか,コスト重視のバジェットリローダ御用達の Lee で考えてみましょう.個人的におすすめするというわけではないのですが,大きくても 308Win くらいまでで Lee のセットならこれかな?というのが,こちら.

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Breech Lock Challenger Kit, MSRP $199.00

これに似たキットに $9 安い 50 周年記念キットもあるのですが,雷管を取り付ける道具が異なります.値段はほとんど同じですし,上の方が標準的だと思うので,こちらを選択するとします.(アルミ製なので大きな弾は厳しいかも?)

これに入っているのは:

(0)プレス本体(Breech Lock Challenger)

(1)雷管取り付けのハンドツール(Auto Prime)

(2)それ用のシェルホルダ(プレスのホルダとは異なる)

(3)ダイ用のクイックチェンジブッシュ.1個なのでダイの数だけ買い足す必要がある

(4)パウダーメジャー

(5)ビームスケール(秤)

(6)パウダーファンネル

(7)トリマーはプレス取り付け式で,トリムダイはカートリッジ別なので買う必要がある

(8)ハンドトリマもついているが,ケースゲージはカートリッジ別なので買う必要がある.

(9)バリ取りツールはトリミング後にマウスを処理するのに使う.

(10)サイジングルーブはサイジング時に使う潤滑ペースト

(11)プライマポケットクリーニングツールが大小両頭で一つ

です.

不思議なのは(7)と(8)ですね.用途がかぶっているのがなぜ二つあるのか分かりません.まあそれは置いておき,このキットを買う場合,更に最低限何が必要なのか順番に考えてみましょう.別に必要なものは(A)のようにアルファベットで示します.

まず射撃後の撃ち殻を持って帰ってきます.汚れていなければ,サイジングからでいいでしょう.プレス(0)にシェルホルダ(A)を取り付けます.フルレングスサイジングダイ(B)にブッシュ(3)を付けてプレスに取り付けます.ルーブ(10)を薬莢に薄く塗り,シェルホルダにセットします.プレスを操作しフルレングスサイジングを行います.プライマもこのとき外れます.

薬莢をシェルホルダから外し,ルーブを軽く拭き取ります.プライマポケットの汚れが気になればプライマポケットクリーニングツール(11)でカリカリしてとります.が,普通は気にしなくて大丈夫です.(なのでこれは要らないと思う)

サイジングした薬莢はキャリパー(ノギス)(C)で測り,所定の長さ以内かを確認します.普通は無理しなければそれほど伸びないのですが,もし長すぎたらトリミングします.このキットではプレス取り付け型のトリマか手作業のトリマのいずれかを使います.ここではハンドトリマにしておきましょう.するとケースゲージ(D)が必要です.トリミングするとマウスにバリが出て,弾頭に傷が付いたりするので,バリ取り(9)します.すると,case prep と呼ばれる作業は終了です.通常はこの状態で貯蔵しておきます.

さてここからリロード作業に入りましょう.まず auto prime(1)に所定のシェルホルダ(2)を取り付けます.雷管をこのツールで取り付けます.作業が終わった薬莢は立てておくため,ローディングブロック(E)に置きます.

パウダーメジャー(4)に火薬を入れて,ハンドルを一回操作すると何グレイン出てくるかをスケール(5)で量り,メジャーを設定し合わせこみます.ローディングブロックごと薬莢のマウスをメジャーの下に持っていき,次々に火薬を装填します.終わったらブロックの上から薬莢の中をのぞき込み,必要があれば懐中電灯などで薬量に異常が無いか確認します.

シーターダイ(F)に買い足したクイックチェンジブッシュ(G)を取り付けます.プレスのサイジングダイを外し,シーターダイに入れ替えます.プレスを操作して弾頭を薬莢にシート(取り付け)します.長さをキャリパーで測って所定値になっていれば完成です.

ちょっと長くなってきたので,続きは次のエントリにて.