週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

狩猟免許は第一種からがいいと思う

近年狩猟免許をとるのが人気らしくて,講習会の定員がいっぱいで倍率も高く,抽選にもれてしまい,何年か待ってる人もいるらしいです.さてそんな狩猟免許にはいくつか種類があります.

  • 第一種銃猟:装薬銃(散弾銃やライフル銃)と空気銃を使った狩猟ができる.
  • 第二種銃猟:空気銃を使った狩猟ができる.主に鳥猟
  • わな:わなを使った狩猟ができる.獣猟.
  • 網:網を使った狩猟ができる.鳥猟.

昨日 ayumu さんからコメントいただきまして,ワナか第二種をとってみたいとのことでしたが,これは実のところ,なかなかにハードな道でして,狩猟に対する明確なビジョンがない限りは第一種をおすすめしました.そのことを説明したいと思います.何をどう獲るかで違いますから,ここではあくまでも何も決めていない漠然とした希望に対するものであり,独断と偏見ではありますが,少なくとも私はこう考えてますというお話です.

 

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まずはワナとは?からです.ワナはシカやイノシシのような獣をとるもので,ざっくり分けると足をワイヤーでくくって獲るくくりワナと,檻をおいて獲る箱ワナがありますが,設備が大きい箱ワナをいきなりかけられる人はそうそういないと思うので,くくりワナの話をします.

 

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箱罠のイメージ

 

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くくり罠のイメージ

 

ワナは当然イノシシやシカがいる山に仕掛けて獲るわけですが,どこでもいいわけではなく,山がどのような使われ方をしていて,山の中をどのような獲物がどのくらい,どこを行き来しているのかを把握していないと捕獲できません.通る線を正確に把握するのは当然で,さらにはその線上のどの点に足を置くかまでミリ単位で見通してかけるのがくくりワナだからです.またワナは仕掛けた状態で放置することは出来ず,原則毎日異常がないか確認しなければなりません.万一掛かっても,その状態で数日放置なんて最低な行為です.ですから結局は猟場が家から近くないと難しいです.またワナを仕掛ける山の持ち主に無断でというわけにはいきませんから,どの山を誰が持っているかということも当然知っている必要があります.もちろん自分自身が山を持っていて,頻繁に見回りをしており,そこにどんなルートで獲物が通っているというようなことを知っているのであれば,釈迦に説法,こんなところで門前の小僧に過ぎない私が説明するまでもありません.笑

 

私は都市部に住んでいて,狩猟する場所までは車で1時間以上かけて行っています.平日は仕事をしてますし,当然猟場に毎日いけるはずもないので,最初からワナは出来ないと分かっているので免許もとりませんでした.出来ればそれは相手との知恵比べで面白いのだろうなとは思うのですけども.少なくとも今は無理です.

 

さて次に銃猟で第一種か第二種かという話です.散弾銃よりも空気銃の方が所持許可は簡単なので,第二種から始めたいという人が多いかも知れませんが,実はこれもまたハードな道です.というのも,空気銃では一般的に鳥猟になりますが,飛んでいるものは撃てません.一粒弾だからです.狙う鳥は必ず止まっている(木,地面,水面)必要があります.対して散弾銃は,止まっていても飛んでいても撃てます.例えば山鳩撃ちを考えると,散弾粒は200個くらい飛ぶのですが,獲った鳩には1,2粒しか入ってなかったりします.打率1%以下という感じですね.そう考えると空気銃で飛んでいる山鳩を獲るのはかなり厳しいことが分かるかと思います.ちなみに散弾銃だと弾を粒の大きいものにすれば,イノシシやシカも撃てます.結局空気銃だと撃てる場所がスポット的に限られ,止まっている鳥までの距離を測って狙う(弾道は放物線を描くので距離で狙点が変わる),また射程外ならそっと近づく技術,あるいは鳥の巡回ルートと止まる樹,休む池をいくつ知っているかなどが猟果につながります.挑戦する楽しみはとても大きいのだけど,あまり初心者向きではないと思います.

 

銃猟免許の難易度は第一種も第二種もそれほど変わりないので,とりあえず第一種をとればいいんじゃないでしょうか.第一種でも空気銃猟は出来ますからね.所持許可には技能試験がある分,散弾銃の方がステップが多く,手数料も高くなりますが,銃自体の価格は一般的に散弾銃の方が安いのと,手動式でない空気銃だとボンベなど周辺装置にもコストがかなりかかるので,始めるまでのコストは結局散弾銃の方が安いと思います.

 

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第一種銃猟狩猟免状の例

 

最後に仲間関係です.都市部に住んでいる場合,遠い猟場まで出かけてまで,空気銃で猟をしている人はそれほど多くない(遠くまで行く手間を考えると,猟果がより確実な散弾銃猟を選ぶ)ので,誰かに連れて行ってもらって,教えてもらおうということがしにくいです.スポットに静かに近寄っていくスタイルですから,初心者を連れて行くと近づく前に飛ばれてしまいますしね.散弾銃猟は飛んでいるのを撃つので,みんなでワイワイ行くことも可能.もちろん鳥だけでなくイノシシやシカも撃てます.というわけで,猟場のそばに住んでいるとか,農地を持っていて農業被害を受けている人でもなければ,ワナより銃猟のほうが始めやすく,更に空気銃より散弾銃の方が入り口は広いと思う,というお話でした.

 

一時期「山賊ダイアリー」というマンガが流行ったときに,多くの人が空気銃(それもなぜか今は作られていないエースハンターを指名)を買って,狩猟を始めたらしいのです.が,それらの人で今でも空気銃猟を続けている方はどのくらいでしょうか.もちろん環境に恵まれていて,すっかりはまってしまった人も中にはいるでしょうが,特に猟場まで出張っていく都会組だと,ほとんど獲れずにあきらめた人の方が多いのではないかなと.私には空気銃猟専門の知り合いはほぼいませんが,それでも空気銃から散弾銃に転向,もしくは両方やる人を何人か知っています.

 

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もちろん希望や環境によって結論は異なるので,必ずしも「第一種+散弾銃」推しの私の説明が当てはまる人ばかりでないことは理解していますが,漠然とした興味の段階だと,具体的な狩猟へのアプローチが決まってないと思うので,一つの考え方としてみていただければと思います.