週末猟師

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マタギ 日本の伝統狩人探訪記

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マタギ 日本の伝統狩人探訪記 戸川幸夫著

 

この本は,近年雨後の竹の子の如く出ている猟師本に比較すると,中身がとても濃いです.というのも,このヤマケイ文庫版は新しいですが,実際は底本があって,それが40年前のクロスロード版で,さらにそれは新潮版の増補改訂版ということなので,元がかなり昔の本なのです.ただし文章自体に古さは感じません.取材当時は昔ながらのマタギ習慣が消えていく時代だったようです.なんでも昔の習慣は大正くらいまではあったらしい.そういう記憶を残した時代に取材しているので,今までにない濃さを感じるのでしょう.著者は記者上がりとのことで,シンプルに平易を旨とした文章は淡々としていて,味付けされたような面白みはありませんが,題材が面白いのでかなり楽しめると思います.最近読んだここ数十冊のマタギ本の中ではトップクラスだと私は評価しました.

 

ちなみにこの本の中で一番びっくりしたのは,マタギ鍋の話です.ウサギでも何でも皮を剥いただけのをぶつ切りにしていれてあるということで,シカリ(リーダー)に椀に入れられたら(腸からでてくる)糞も食べないといけないらしい.苦笑 今がそういう時代じゃなくてよかった〜.笑