フルレングスサイジングダイの設定を見直すために,デプスマイクロメータで現状を確認してみましょう.
まずはゲージとツライチになっているときの読みを確認します.平面ゲージが付属していますので,それをつかいます.
それに載せてみますと
この表示は 0.1" を示しています.実はこうなるように既に調整してあるのですけど,ここが基準です.なぜ0を基準にしないかというと,ゲージより薬莢が奥まった(短い)場合に値が読めなくなるからです.0.1" を基準にすれば,それ未満でゲージより短く,0.1" を超えるとゲージより出ている状態を表します.
ではサイジング前の薬莢を準備します.
これをケースゲージに入れます.
そしてマイクロメータのスピンドルを退避させます.
薬莢があたらない位置までいったんスピンドルを高くするわけです.そしてマイクロメータを上からかぶせます.
そしてダイヤルを回してスピンドルと薬莢のヘッドが軽く接触させた状態で読み取ると...
回転部は 0.001" を表しており,基準値 0.1" から 0.002" マイナスになっています.この状態ですでにゲージよりも 0.002" 奥まっているわけですから,十分短いことになります.そうなると少なくとも長手方向にはフルサイズをかける必要はないのですけども,フルダイの設定を調べたいわけですから,かけます.(ディキャップピンは外してあります.)
ところでサイジングダイは底がシェルホルダ上面に接触するようにしています.要するにここが...
ハンドルを下げると,ホルダがダイに底突きします.
これはこのダイとシェルホルダの組み合わせで可能なもっとも強いサイジングとなります.でもこのように調整することが世の中では一般的とされています.そしてこのようにフルサイズした薬莢はこちら.
これをゲージに入れまして
値を読みますと..
0.1-0.012,すなわち 0.088" です.サイジング前と比べると 0.01" 短くなっています.標準以下の長さであっても,それより強いサイジングがかかる設定になっているわけです.デプスマイクロメータの説明書を見ると,一般的には 0.001" から 0.004" 程度短くするくらいが普通らしいので,明らかにきついサイジングを強いていることになるようです.薬莢を観察しますと
クラックは入っていませんが,確かに変な線が浮き出ています.これはサイジングのかけすぎを意味しているのでしょうね.ミニマムチャンバーゲージに入れてみましょう.
ストレートエッジを当ててみるとこれだけ空いています.
あと少しダイを上げた方が薬莢の消耗を抑えることができそうです.次にサイジングするときには改善したいと思います.