ライフル編は以下のエントリで行いましたので，今回は散弾編にいきましょう．
散弾リロードでは使うのはプレスだけです．これに火薬量や散弾量を設定する部分が組み込まれているので，他にいろんなものを買い足す必要がないのです．散弾用のリローダとしては以下の二種類が代表的だと思います．
Lee Load-All II
MEC 600Jr. mk V
いずれも単体でリロード可能で，ライフルのように道具立てが多種多様ではないので，道具に掛かるコストは大きくないのですけど，とりあえず金額を計上しないと説得力がないので書いてみますね．
まず私の作っている鴨マグナムの場合を考えます．ライフル同様，薬莢はクレーで使った撃ち殻をそのまま持って帰ってくるとして計上しません．あとの必要な部材は
- 雷管：百個入りで 2,500 円なので一個 25 円
- 火薬：一瓶 15,000 円で，28 gr 使えば１発あたり 60 円
- ワッズ：国内調達価格は１個 10 円
- 散弾：1-1/2oz(43g)で 47 円
で，合計 142 円となります．例えば下の市販品 43g 装弾は 176 円なので差額は僅か 34 円に過ぎません．
市販装弾の例
いくら道具立てにそれほどコストが掛からないといっても，これではペイするのは厳しいですね．
考えるだけ無駄ですけど，一応クレー用 24g 装弾を作ると仮定するとどうでしょうか．
- 雷管：これは何を作っても同じで一個 25 円
- 火薬：18 gr として１発あたり 39 円
- ワッズ：種類は違ってもだいたい１個 10 円
- 散弾：7/8oz(24g)で 26 円
以上で合計百円ちょうどです．私の使っているクレー用市販装弾は一発 44 円くらいですから，完全にコスト割れで，作る意味は全くありません．
では散弾のリロードは意味がないかというと，クレー装弾については完全にその通りですが，狩猟用については辛うじてリロードの方が安くなります．それでも道具が１万〜数万円しますから，ペイするには相当作らないといけません．ただ自分で作った装弾は組み直しが出来るのが大きな利点です．
狩猟用装弾を無許可譲受票で購入すると，次猟期末までしか持っていることが出来ません．すなわち余った弾はクレー射撃などで消費しなければならないのです．ところがどの射撃場でも，鴨撃ちで使うような粒の大きな散弾が使えるかというとそうではありません．射撃場の土地の広さによって使える粒の最大号数が決まっているためです（大粒は遠くまで飛ぶから）．私が行っているような射撃場だと７号までしか使えないとか書いてあります．すると鴨撃ち用の弾は撃つところがなくて消費できないということになりますね．
市販の装弾でも散弾の載せ替えは本来許されている「軽微な改造」に当たるはずですが，載せ替えるには薬莢自体を開かねばなりません．でも実は口を開いて散弾を入れ替えることはできても，そのまま元のように口を戻して閉じることはほぼ不可能なのです．結局散弾を取り出すには薬莢を切り開くことになります．当然その薬莢は再利用できませんので，雷管，火薬，ワッズなどを全て取り出した後で，別の薬莢にそれらを載せることになるでしょう．ところが薬量やワッズの組み合わせは，薬莢の内部構造種類で最適化されており，別の薬莢には同じレシピを使うことは出来ないのです．すなわち薬量の調整が必要と言うことです．でも量を減らそうとすれば，その残った分の火薬は「製造」したことになってしまい犯罪ですし，足す方は仮に法的にクリアできたとしても，薬種が分かりませんから，足すことも出来ません（異なる種類の火薬を混ぜて使うことは禁忌）．
でも自分でハンドロードしたものは薬莢も同じものを持っているわけですから，切り開いて別の薬莢にそのまま載せ替えることは可能なわけですよね．４号散弾を載せた鴨マグナムを分解して散弾をストックに戻し，同種の薬莢に７半や９号散弾で詰め替えれば安全にクレー射撃で消費できて，安心というわけです．
ただし念のため注意したいのは，法的には分解も製造とみなされているようなので（根拠は下のエントリ）我々の１日の無許可製造は百個までですから，載せ替えは50個までにしておいたほうがいいかも知れないです．
