週末猟師

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リローディングプレスの選び方① タイプを考える

リローディングプレスとは...という話はここでは割愛しますが,ざっくり言えばリローディングベンチに必ずと言って良いほど設置される特徴的な道具の一つです.似たような内容は前にも書いたことがあるような気がしますけど,五月雨的に思いついた話だったと思うので,今回は現時点の知見を基に,もう少しまとめて考えてみたいと思います.

 

まずプレスタイプは以下の5つに分類できます.

  • シングルステージ
  • プログレッシブ
  • ハンドローダー
  • ターレットプレス
  • アーバープレス

これらのうち最初の(そして大多数には唯一になるであろう)一台にはどれを選ぶか?が本エントリの主題となります.もちろんいろんなタイプがあるというのは,それぞれに用途があるからです.そこで日本国内で狩猟やその練習となるレベルのライフル射撃をするということを念頭におきます.そういう用途だと,通常のボトルネック薬莢で一度に数十個から百個作るというのがもっともありがちなパターンでしょう.ベンチレストみたいな精密射撃はまた別の次元の話であり,私は詳しくは知りませんから採り上げません.

 

いきなり結論からになりますが,そのような用途なら「シングルステージプレス」がいいと思います.

 

シングルステージプレスの例


一度のハンドル操作で,一つの薬莢に対して一つの操作をするという基本的なプレスです.あとのタイプはこれと比較してどうなのかという話になりますね.

 

プログレッシブプレス」

 

プログレッシブプレスの例


これは複数の薬莢に対して流れ作業的にそれぞれ異なる作業を一度のハンドル操作で行えるプレスです.便利そうに見えますし,機構も面白そうですが,このタイプの本質は,短い時間にほどほどの精度で大量の実包を組むことであって,日本では1日に無許可製造できるのは百個までとなっているので,正直要らないです.大きくて邪魔だし.これはピストル弾みたいに大量に撃ちまくって遊ぶような場合にはいいのですけど,我々みたいに高々百個しか作らない場合にはつま楊枝を切るのに鋸を持ち出すようなイメージかな.薬量を少しづつ変えて作るみたいな小回りも利きません.

 

「ハンドプレス」

 

ハンドプレスの例


これは某誌にもとりあげられていましたけど,ライフル射撃では少なくともこれを最初の一台に選ぶ,とはならないと思います.ボトルネック薬莢のサイジングには力が要るので,ハンドプレスではレバレージが足りず,ネックサイズしか掛けられません.数個だけ作るとかならいいかも知れませんけど,何十個もこれで作るのは相当な苦行です.苦行なのは自分だけじゃなくて,プレスの方もアルミ製なのでそのうちダイの取付部が折れそう.このタイプはピストル用にとりあえず何個か作って遊ぶとかいうのには適していると思います.でも日本じゃそんなのないわけで.ただライフル用としては,シートだけするには問題ないので,別のプレスでサイジングした薬莢を持っていって,出先でシートだけするのに使うとかならいいでしょうね.とはいえ,あまりそんなシーンはなさそうですし,そもそも他にプレスを持っている前提だから,今回の話とは違いますね.

 

ターレットプレス」

 

ターレットプレスの例


これはツールヘッドに使用する複数のダイを付けておき,使いたいダイのところにターレットを回して使うタイプのプレスです.スタイルによってはあう人もいるかも知れませんが,かなり限定されるのではないかと.この辺の話は長くなるのでまた別で書きたいと思います.一つだけいうとすれば,サイジングダイって結構汚れるので,毎回外して中を掃除することになるんですよ.放っておくと内面が錆びてしまいますので.で,このとき当然着脱操作を伴うので,それをいとわないならシングルステージでいいんじゃないかというわけです.脱着はめんどうだからとこれを選ぶわけですからね.それにシングルステージでも Hornady と Lee から出ているクイックチェンジコンバージョンキットを使えば,ワンタッチでダイの着脱が出来るようになるので,あまりターレットの利点ってなかったりします.まあ見た目は面白いし,ちょっと欲しいような気はするんだけど,今の私なら結局使わないだろうなぁ.


「アーバープレス」

 

アーバープレスの例


これは主にベンチレストをやってる人が使うものです.サイザーもネックしかないと思います.フルサイズを掛けるにはプレスの強度もレバレージも足りないし,仮にダイに入ったとしても抜けなくなっちゃうんじゃないかなと.まあそもそもフルの設定がないと思いますが.そんな感じでかなり特殊なので,使えるキャリバが限定されたり(対応するダイがない),メーカーも選べないし,一般的なライフルシューターにはお勧めしません.あくまでもちゃんと分かってる人が,分かっていて使うものです.

 

というわけで,タイプとしてはシングルステージが最もお勧めです.逆に言うと,これ以外は勧めません.

 

そして材質に関しては,鋳鉄(cast iron)とアルミダイキャストがありまして,ライフルのボトルネック薬莢には強度の高い鋳鉄製がお勧めです.アルミ製は価格が安いので見た目だけで選ぶと(ほとんど一緒なので)アルミになってしまいますが,強度が低いのでお勧めしません.アルミは主にピストル用だと思った方がよいかと.

 

次いで構造については, O 型と呼ばれるものが最も良いでしょう.こんな形のものです.

 

O-frame の例

 

他にC型などもありますが,O型が最も強度があるとされています.C型は下のような形状のものです.

 

C-frame の例

 

というわけで以上まとめますと,狩猟用ライフルの許可を得て最初に買うプレスとしては,ド定番ではありますが,

  • シングルステージ
  • 鋳鉄製(cast iron)(アルミダイキャストでないもの)
  • O型

という条件を満たすものを選ぶことが失敗がなくてよいかと思います.あとクイックチェンジブッシングを付ける,もしくは将来的に付けるかも知れないのであれば,プレスの対応ダイが 7/8" だけではなくて,1-1/4" にも対応するもの(通常はこれにプレス付属のブッシュで 7/8" のダイが入るようになっている.このブッシュを外すと 1-1/4" が付く)を選ぶべきです.まあよほどのエントリーモデルを選ばなければ大丈夫だとは思いますが.