週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

鴨マグナムの新規レシピを考える

今週のお題「2024年にやりたいこと」ということで,本ブログのメインテーマであるリローディングについて考えると,今年やりたいのは「鴨マグナムの新規レシピ開発」です.

 

鴨猟で使う弾を作るとき,今猟期までは

  • 薬莢:Winchester AA (WAA/HS)
  • 火薬:Hodgdon Longshot
  • ワッド:WAA12R(通称赤ワッズ)
  • 散弾:#4 1-1/2oz

というレシピでやっていました.このうち赤ワッズの在庫が払底し,手持ちが WAA12(通称白ワッズ)ばかりになってしまったのです.

 

ワッズというのは散弾実包に組み込む部品(下図)で,発砲すれば散弾と一緒に飛んでいくため,当然ながら消耗品.1発に1個必要です.

 


図中の Leg がクッションになる部分,その上が散弾粒が収まるカップ,下は火薬の燃焼ガスを受け止めるガスシールと,複数の機能を持ち,散弾で肝となる部品です.上のが在庫切れの通称赤ワッズで,残っている白ワッズは下のタイプ.

 

 

白と赤を比較すると実はカップ部分の大きさはほとんど一緒なので,載せられる散弾量は変わらないのですが,白の方が Leg が長いために,今使っている薬莢では散弾量を低減しないと薬莢に収まりません.だからといって散弾量を減らすなら市販という選択肢もあるので,自分でリロードする意味がなくなります.市販なら非常に高価な3インチマグナムでないと実現できない散弾量が,自分でリロードすれば一般的な 2-2/4" 薬莢で作れると言うところに意味があるからです.

 

では白ワッズでどう 1-1/2oz を実現するかですが,これは使用する空薬莢を変更することで可能になると考えています.説明すると薬莢の下の方の断面構造は以下のようになっています.

 


リロードベースに昔から使われていた Winchester AA はもともと1のような構造でした.これを compression formed といいます.すり鉢状になっていることで燃焼効率を上げて,使用する火薬の量を節約しつつ弾速を上げていたわけですね.ところがこのような構造は作るのが難しいので,かれこれ十何年か前ですけども,2のような構造にリニューアルされました.テーパー部分が別部品になったのです.オリジナルの利点を引き継ぎつつコストカットしたわけですね.ただこの部品の上部でワッズのシールが止まりますから,もしワッズを下げたければ3のような断面構造をもつ空薬莢を使えば良いということになります.これを polyformed といいます.

 

世間では polyformed の薬莢のほうが一般的で,手に入りやすくはあるのですけども,そうすると薬量と弾速の関係が変わりますから,また試射を繰り返して新しいレシピを開発していく必要があるわけです.薬量が変わればリロード時にプレスで使用するブッシュも変わるので,手持ちに適切なサイズがなければ海外通販で入手する必要があり,それだけでも軽く一ヶ月は納期がかかるので,いくら猟期が11月からだといっても,時間的余裕はそれほどあるわけではないのでした.

 

MEC のパウダー用ブッシュ

 

なお昔の WAA と現在の WAA/HS の違いについて,うまく説明されているページを下にリンクしておきますので,正確に知りたい方はご覧下さい.

 

www.ballisticproducts.com