ライフルリローディング時，現在は各キャリバー共に普通のサイジングダイを使っていますが，これをそろそろブッシングダイにしようかなぁと考えています．と，その前にご存じない方のために，サイジングとはなんぞや？から，普通のサイジングダイとブッシングダイの違いまでを述べておきたいと思います．
サイジングとは，発砲した使用済みの薬莢が膨らんでいるのを，金型（ダイ）にプレスで薬莢を押し込んで所定の大きさまで縮小する工程です．一般的には，薬莢全体の大きさを縮めるフルレングスサイジングダイ（フルダイ）と，弾頭を保持するネック部分の大きさだけを縮めるネックサイジングダイ（ネックダイ）がよく使われます．一般的な使い分けとしてはセミオートライフルには基本フル，ボルトなら薬莢寸法の変化を見ながら適宜両者使い分ける感じです．ただしボルト式でも発砲に使用した銃と，その薬莢を使ってリロードした弾を使用する銃が異なる場合はフルを使います．両者とも概ね構造は次のようになっています．
下から薬莢を押し込みますと，フルダイなら薬莢全体が，ネックダイなら←の部分，すなわち弾頭を保持するネック部分だけがサイジングされます．このときネック径は弾頭が保持できるよりも大幅に小さくします．そして，薬莢を引く抜く際に丸で囲んだ部分（サイジングボタン）がネックを弾頭を保持できるサイズまで広げます．それは弾頭の直径よりわずかに小さい直径となります．
すなわち通常のサイジングダイは，ネックを一度小さくし，その後所定の内径まで大きく戻すことから，ネックの疲労がたまりやすいとされています．
対して，ブッシュダイはこのサイジングボタンがありません．その代わり，外から圧縮するときに弾頭が保持されるだけの内径を残すよう大きさを決めたブッシュをネック部分にセットする仕組みです．
このブッシュのサイズは弾頭の直径にネックの厚さを足した値から，弾頭を保持するためのテンションを得るため少し小さくしたサイズを選びます．ネックの厚さが適切にコントロールされていれば（個々の薬莢によって厚みにばらつきがないように出来れば），通常のサイズ＋ボタンでのサイジングよりも薬莢への負担が小さく，弾頭保持力も均一にできるというわけです．
では世の中ブッシュ式だけでいいではないか，という疑問が生まれると思いますけど，薬莢はネック部分だけでもメーカーによって厚みが大分違います．サイジングボタンを使用する方式なら，この部分の厚さがどうであれ，弾頭を保持するのに適した内径が保持されるのが利点です．
ちなみに私の経験では，通常のサイジングでも20回くらいは使えていて，それもネック割れによる廃棄をした数はわずかですから，ブッシュダイにする必要をネックへの負担から感じたのではありません．サイジングでは圧入時に力が要るとされていますが，私の場合はボタンを引き抜くのにだいぶ力を使っている感じがします．すると，ネックが伸びる方向に力がかかるので，トリミングする頻度が増えるのではないかと思いました．それはおいておいても，ボタンを抜くのが大変だというのが主要な動機です．（薬莢内部もきれいにすればこの大変さは桁違いに軽減されますが，私は面倒くさがりなので...．笑）
と，そんな前置きはこのくらいにしまして，ブッシュダイでの問題はブッシュサイズをどう決めるかです．Redding の説明を見ると，弾頭直径 + ネック厚さ × 2 - 0.001〜0.002" とあります．同様に RCBS だと引くのは 0.002〜0.003" と説明されています．RCBS のほうが Redding よりもネックテンションが高めになっているようですが，間をとって 0.002" 引いた感じでいけばいいかと思います． 実際にマイクロメータでネック厚を測ってみましょう．
クルクルまわしながら５〜６カ所ほど測ってメモします．その数値の最大と最小を除外し，それ以外の値の平均値をとりました．うちにある 30-06 の Lapua 薬莢のネック厚みはこのように平均値を求めると，新品時が 0.0154"，数回使ったもので 0.0153"，もっともっと使ったもので 0.0150" という感じでした．
結論としては 0.308 + 0.0150（〜0.0154) × 2 - 0.002 = 0.336" 〜 0.337" くらいを標準とすればよいでしょうか．0.336 ± 0.001" くらいでブッシュを持っておこうかと思いました．ちなみに Winchester 薬莢だと 0.332" くらいがちょうど良さそうでした．ただブッシュも結構なお値段しますから，近年主力にしている Lapua 用にあわせたサイズを買っておいて，別ブランドを使うときはブッシュじゃない普通のタイプにしようかと思っています．
